セミナーレポート
人の直感的な動きで,コンピューターを動かす時代が始まっている日本マイクロソフト(株) 千葉 慎二
本記事は、画像センシング展2012にて開催された特別招待講演を記事化したものになります。
Windowsデバイス用Kinectセンサーを発売
パソコン(PC)やゲーム機を操作するには,キーボードやコントローラーを使わなければなりません。そのため,慣れていない人はどこかを押したら大変なことになるのではないかと恐怖感を持っています。そこで,キーボードを使わずに,視線や音声,指による操作,ジェスチャーなど人間の直感的な動きで,誰でもコンピューターを使えるようにするナチュラルユーザーインターフェース(NUI)が大きな注目を集めています。マイクロソフトの「Kinectセンサー」は人と人がコミュニケーションするように,人とコンピューターがコミュニケーションできるようにすることを目指して,開発されたNUIに進化する可能性を持つデバイスのひとつです。もともと,Kinectセンサーはゲーム機「XBOX360」用でしたが,2012年2月にWindowsデバイス向けで商用利用が可能な「Kinect for Windowsセンサー」が発売されました。この製品の本体は赤外線プロジェクター,距離センサー,映像センサー,指向性マイクロホン,ノイズを消すオーディオエコー除去,上下に首を振る傾斜モーターから構成されています。そして,骨格追跡(スケルトントラッキング)などの機能はPCにインストールされたソフトウエアで行います。そのために,本体の距離センサーと映像センサーからは3D深度ストリームとカラー映像ストリーム,マイクロホンからは音声がUSB2.0経由でPCに流れます。ですから,Kinectセンサーが人間でいえば,目や耳にあたり,PCやXBOX360が頭脳になるのです。
実際には,対象物に赤外線を投光し,そのゆがみから,距離を推測します。アプリケーションはX-Y-Z情報を受け取ることができ,X-Yがピクセル座標,Zがミリメートル単位の距離情報になっています。赤外線を使うので,周辺の環境に影響されることがあり,ギラギラした服や着ぐるみのように光線を反射したり,吸収したりするものはうまく測れません。しかし,一般的な環境では問題なく,対象物を測ることができます。
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日本マイクロソフト(株) 千葉 慎二