OplusE 2013年6月号(第403号)
- 目次
- 特集のポイント
- 広告索引
特集
実利用が進むセキュリティーカメラシステムとその新展開
- ■総論
- O plus E 編集部
- ■安全・安心のための動画像認識技術~特徴抽出の観点から~
- 産業技術総合研究所 知能システム研究部門 小林 匠
- ■顔認識技術を応用した来店客層分析システム「RESCAT-CA」
- 沖電気工業 塚本 明利
- ■帽子等で影のある顔画像からの同定
- 東京大学 生産技術研究所 松川 徹,佐藤 洋一
- ■歩容鑑定システム
- 大阪大学 産業科学研究所 槇原 靖,岩間 晴之,村松 大吾,八木 康史
- ■時空間特徴の統計的学習を用いた異常行動検知
- 日立製作所 日立研究所*,中部大学大学院工学研究科**,弓場 竜*,藤吉 弘亘**
- ■入退管理システム向けなりすまし検知技術
- 日立製作所 中央研究所*,日立情報通信エンジニアリング**,小松 佑人*,吉永 智明*,松原 大輔*,影広 達彦*,染谷 哲**
- ■店舗における購買行動分析のための人物検出・追跡技術
- 慶應義塾大学 理工学部電子工学科 青木 義満
- ■画像処理で煙検知するシステム開発
- 徳島大学 工学部知能情報工学科 寺田 賢治
連載
- ■【一枚の写真】世界最大の空間光変調器?
- 宇都宮大学 オプティクス教育研究センター 谷田貝 豊彦
- ■【私の発言】科学の面白さと光触媒の効用を伝導
- 東京理科大学 学長 藤嶋 昭
- ■【第10・光の鉛筆】18 非点光線束の追跡 11 ペツバールの定理1
- 鶴田 匡夫
- ■【波動光学の風景】95 97.球ベッセル関数
- 東芝 本宮 佳典
- ■【光エレクトロニクスの玉手箱】第4章 光はどこから?(その1)
- 伊賀 健一,波多腰 玄一
- ■【コンピュータイメージフロンティア VFX 映画時評】
- Dr.SPIDER
- ■【研究所シリーズ】放射線医学総合研究所 福島復興支援のためのホットスポット検出器の開発
- 研究基盤技術部 白川 芳幸
- ■【ホビーハウス】ホログラムの中の瞳にキャッチライト!―「瞳」は「小さな人」―
- 映像技術史研究家 鏡 惟史
コラム
■Event Calendar■掲示板
■O plus E News/「光学」予定目次
■New Products
■オフサイド
■次号予告
実利用が進むセキュリティーカメラシステムとその新展開OplusE編集部
セキュリティーカメラシステムは犯罪の防止,犯人の検挙のために重要な手がかりであり,その映像を解析することにより,犯人の検挙に結びついた事例が増えている。最近の例では,米国のボストンマラソンでの爆弾テロ事件(2013年4月15日)での犯人の同定に,監視カメラが重要な役割を果たしたことは記憶に新しい。最近のキーワードは,high-definition規格対応とインターネットである。前述のボストンマラソンでの爆弾テロ事件でもインターネットが大いに活用された。
2012年末現在,公共の場所(道路,駅構内など)に設置されているビデオカメラの設置台数は,日本全国で300万台を超えている。デパート,スーパー,コンビニなどの店舗や,(銀行の)ATM,マンションのエントランス他に設置されているものを含めると,数千万台を超えている。
今年(2013年)3月5日~8日に,東京有明の東京ビッグサイトで開催された第21回セキュリティ・安全管理総合展「SECURITY SHOW 2013」(日本経済新聞社主催)では,189社が出展した。この展示では,①統合セキュリティー・ビル管理,②防犯カメラ・映像セキュリティー,③入退管理・バイオメトリクス,④防犯建物部品・錠前鍵,⑤ホームセキュリティー・防犯グッズ,⑥オフィスセキュリティー・文書管理,⑦ストアセキュリティー・万引防止,⑧テロ対策・警備用品,⑨防災対策&節電対策・事業継続,⑩情報セキュリティー・ネットワークセキュリティー,の分野に分けて展示されたが,その中で圧倒的に展示会社の数,展示スペースの広さで,②の防犯カメラ・映像セキュリティーの分野が活況を呈していた。
イメージセンサーを含むカメラおよび記録メモリーの安価化,CMOS回路による高性能化,低消費電力化,バッテリーの高性能化,インターネットの普及などにより,high-definition規格対応のセキュリティーカメラシステムが普及しつつある。また撮影された大量の映像を画像解析し,顔認証による個人同定,異常行動等のシーン自動解析のような知的な画像センシング技術の導入も加速している。
設置分野で分類すると,
- 1:街・通りの設置例
- 2:電車の駅構内,(高速)道路
- 3:空港
- 4:テーマパークの入場ゲート
- 5:マンション(の入り口,エレベーターの中などでの最新システム)
例-1:東京スカイツリーの街((株)日立国際電気)
例-2:東京足立区の北千住駅西口美観商店街(400mの間に48台のカメラ)
例-3:群馬県桐生市(防犯に役立っている)
例-2:東京足立区の北千住駅西口美観商店街(400mの間に48台のカメラ)
例-3:群馬県桐生市(防犯に役立っている)
都会の駅にはほとんど設置されており,事件や事故の対応に活躍している。
最近の例として,成田空港では,空港入場時の警備員による検閲を自動化する実証実験を2013年3月18日からスタートしている。第2旅客ターミナルの駅に顔を識別できる監視カメラシステムを設置して身分証の提示を省略している。この実験は2カ月間実施し,将来的には継続的に使うことを目指している。
最近の例として,ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(大阪市)の年間パスポートがある。これは設置されたカメラがパスポートを登録している人を1秒以下で顔認識し,入場ゲートのロックを自動的に解除することにより,チケットを持たずに待つこともなく入場できるシステムを導入している。
例:千葉県ユーカリが丘で,山万(株)が建築中の新築マンションのエントランスに導入して住人を認識して,こまやかなサービスを行うシステムの導入を進めている。
これらの例で多く使われている技術は人の顔の検出(detection)と認識(recognition)あるいは認証(照合)(identification)技術である。その流れを図1に示す。アルゴリズムの高性能化により,その精度および速度が向上している。 最近では,防犯用途のみならず,店舗におけるセキュリティーカメラ映像から,顧客の購買行動の解析により,新たなサービスを提供することを目指した新しい応用も検討されている。また,顔画像認証技術は,家電製品(例えばテレビにカメラを取り付けることにより,その人を同定し,その人の好みの番組を提示するパナソニック(株)のテレビ「ビエラ」等)への展開も試みられている。
このような動向を踏まえ,本特集では,導入が進むセキュリティーカメラシステムについて,顔や人物行動を扱う画像センシング技術およびその応用システムについて,最先端の研究開発事例を最近の学会・研究会・シンポジウムなどの発表からセレクトして紹介する。紹介する記事としては,
- :安全・安心のための動画像認識技術~特徴抽出の観点から~
- :顔認識技術を応用した来店客層分析システム「RESCAT-CA」
- :帽子等で影のある顔画像からの同定
- :歩容鑑定システム
- :時空間特徴の統計的学習を用いた異常行動検知
- :入退管理システム向けなりすまし検知技術
- :店舗における購買行動分析のための人物検出・追跡技術
- :画像処理で煙検知するシステム開発
一方で,このようなカメラ映像の利用が増えてくるに従い,それらの画像データのプライバシーの扱いが社会的問題になりつつあり,運用ガイドラインの必要性が挙げられている。この項目についても本特集で取り上げたかったが,できなかったことをここにお断りする。
広告索引
- (株)インデコ403-002(表2)
- (株)インフラレッド403-008
- エドモンド・オプティクス・ジャパン(株)403-997(表3対向)
- オーシャンフォトニクス(株)403-999(表4)
- オーテックス(株)403-010
- (株)オハラ403-016
- (株)オハセル403-012
- (株)オプトサイエンス403-014
- カンタムエレクトロニクス(株)403-013
- (株)清原光学403-017
- (株)コーンズテクノロジー403-009
- (株)ティー・イー・エム403-019
- (株)デルフトハイテック403-018
- (株)東京インスツルメンツ403-007
- (株)トライオプティクス・ジャパン403-015
- (株)日本レーザー403-003
- ネオアーク(株)403-011