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特別編(上) 講演 光による人類の未来への貢献光産業創成大学院大学/浜松ホトニクス(株) 晝馬輝夫

司会:光をエネルギーとしてとらえた場合,電気と違い化学反応もコントロールでき,植物の育成やあらゆる産業に波及効果があります。
 日本では光に対する認識が遅れています。これは文部科学省,経済産業省の認識が薄いのも原因の1つです。海外では光を国の政策として「光技術で国際競争力を高める」ということを掲げている国もあります。そういう意味で,今回,光産業創成大学院大学の理事長で浜松ホトニクス株式会社社長の晝馬輝夫氏が「光による未来への貢献」という話をいたします。晝馬氏は,本学の理事長として大学の講義や学生指導にも直接出てきて当たられています。
 光創成大学院大はユニークな大学で教員数が18名,学生が23名で,学生は入学したら光に関するシーズを基に会社を起業します。3年間会社を経営し,その経験から得た新しい知見を博士論文にして博士号をもらうというシステムです。ということで,ぜひ社会のニーズをもって本学の門を叩いていただければ,と思います。
 では,ここで本題に移らせていただきたいと思います。

近代日本における産業の生い立ち

晝馬:悪名高き晝馬です(笑)。
 日本の産業の進むべき道というのはそこら中で話していますが,アメリカの大統領が「産業の基本要因は競争力である」という演説を議会でやったというのですが,日本では競争と聞くと「ペテンやインチキでもいいからとにかく勝つこと」という風に取られる方が多いかと思います。しかし,そうではなくて,「正々堂々とした競争力」というものは絶対に必要で,「それをもたなきゃ負けちゃうよ」というのは私も同感です。
 日本の近代産業というのは,残念ながら明治以来,外国の技術の導入と産業の模倣に終始しました。明治維新というのがなぜ起きたかと言いますと,「外国の軍備,文明・文化は日本に比べて桁違いに進んでいる。だからそのまま日本がのんびりしていたのでは,香港みたいに占領されてしまうぞ」ということで,それに危機感を感じた一部の人間が「それは大変だ」と大騒ぎして日本を開国し,外国の技術を含め,その他何でもかんでも,導入しようということをやったわけです。ちょうど中国がここ10年くらい前からやっているのと同じことを,100年前にやったわけです。
 そのこと自体はあまり責めるつもりはありませんが,外国人に対して「なぜ彼らはこんなことを見つけたのか?」,「そのプロセスはいったい何だったのか?」ということを勉強しようとしないで,ただ一生懸命に言われたとおりのモノを作って,「できた! できた!」といって喜んでいたわけです。
 これは逆に言えば日本人の従順性ということで,外国から信用を博したということなのでしょうが,裏返せば「こいつらに教えても大丈夫。一生懸命作って俺のところに持ってきてくれる」という意味でもあります。つまり模倣を乗り越えて,何か新しいことをやることはないだろうということです。それでは癪に障ると思うんですが,実際にわれわれの先代,先々代がやってきたことはそれです。

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