テラヘルツ光による黒色ゴム材料の非破壊検査手法を開発科学技術振興機構 慶應義塾大学 研究グループ
カーボンブラックが配合された黒色ゴム材料は,タイヤや防振ゴムなどに利用されており,その内部状態を検査する技術の確立が必要であるが,黒色ゴムは,人間の目が感じる可視光や近赤外線,中赤外線も透過しないため,光を用いてその内部状態を非破壊で観察することは極めて困難とされてきた。
今回,幅広い光スペクトルの中で,電波と光の境界にあるテラヘルツ光だけが黒色ゴム材料に対して透過性をもつことに着目し,添加されたカーボンブラック凝集体の並び方を偏光測定によって推測できることを実証した。さらに,カーボンブラック凝集体の整列の様子から,材料が「どちらの方向に」,「どの程度」ひずんでいるか を推測することにも成功した。この分析手法は,外からの力によるゴム材料変形を推測できることを示しており,タイヤや防振ゴムの新しい非破壊検査ツールとして期待される。