光子を1個ずつ観測でき,その波長もわかる超高感度顕微鏡を開発産業技術総合研究所 研究グループ
通常,試料をカラー観測する際には,白黒画像しか得られない電子顕微鏡ではなく,光学顕微鏡が用いられる。光学顕微鏡は,試料からの光をレンズで集光して CMOSカメラなどの光検出器で観察する。しかし,試料からの光が極めて弱くて光検出器の検出限界を下回ると,観測できない。
同グループでは,超伝導現象を利用した超伝導光センサーの開発を進めており,これまでに,光の最小単位である光子を1個ずつ検出し,光子の波長(色と関係して いる)も識別できる光センサーを実現している。今回,この超伝導光センサーを顕微鏡の光検出器として用いて,従来の光学顕微鏡の検出限界を大幅に超える「光子 顕微鏡」を開発し,光子数個程度の極めて弱い光でカラー画像の撮影に成功した。
今回開発した顕微鏡を用いて,生体細胞の微弱発光の観察や微量化学物質の蛍光分析など,医療・バイオ分野や半導体分野における研究開発・製品開発での利用が期待される。