セミナーレポート
コマツのスマートコンストラクションによる建設現場の生産性向上コマツ 執行役員 スマートコンストラクション 推進本部長 四家 千佳史
本記事は、国際画像機器展2017にて開催された特別招待講演を記事化したものになります。
2025年には建設現場で130万人の労働力が不足
コマツの売上の90%は建設機械の車両です。売上地域は世界各国・各地域に分散しており,65%は日本以外で,日本の比率は全体の2番目となっています。コマツの事業戦略の第一として,いい機械をつくるという商品づくりがあります。また,当社の製品は5年,10年と過酷な建設現場で使われますので,その間,機械を止めない,お客様の仕事を止めないようにしようというサービスも重要です。ここでは,「KOMTRAX」という建設機械と双方向に通信するシステムを市場に投入し,建設機械から事故の予兆の発報や稼働状況のモニタリングを行い,サポートを行っています。さらにその先にあるのが,お客様側に立ち,一緒にお客様の課題を見つけ出し,解決していくというものです。
当社のお客様である建設業界では,今,「労働力不足」という課題に直面しています。2025年には130万人の労働力が不足すると予測されています。この解決には,1人当たりの労働生産性を上げていくしかありません。一方で,建設会社のプロフィールを見ると,94%が社員10名程度の比較的中小規模の建設会社です。この94%を占める会社の労働生産性を上げていかなければ,労働力不足の課題解決にはつながりません。
コマツは,建機というハードをつくっているメーカーですから,まず自分たちの商品でこの課題を解決しようと考えました。それが,ICT建機です。これはGNSS(全球測位衛星システム)に補正情報を加え,自車位置を数cmの誤差で検知し,3次元の図面をもとに半自動制御で作業を行うものです。2013年に,このICT建機を,日本,北米,欧州,豪州で市場導入しました。しかし,現場ではコマツの建機が使われている工程だけでなく,その前後に様々な工程があります。コマツの製品が関与しているのは施工の一部であり,いくら部分最適をしても必ずしも全体最適にはつながらないことがわかりました。そこで,お客様が工事を受注されてから終わるまで,お客様側に立って一緒に課題を見つけ,課題解決のお手伝いをしていくために,2015年2月から開始されたのが,スマートコンストラクションです。
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コマツ 執行役員 スマートコンストラクション 推進本部長 四家 千佳史
1997年11月,㈱BIGRENTAL 代表取締役社長(郡山市にて同社創業)。2008年4月,コマツレンタル㈱ 代表取締役社長(㈱BIGRENTALと経営統合により就任)。2015年1月,執行役員 スマートコンストラクション推進本部長(兼)コマツレンタル㈱ 代表取締役会長(現在に至る)。