OplusE 2018年3・4月号(第460号)
- 目次
- 特集のポイント
- 広告索引
特集
ますます高度化するイメージセンサー
- ■特集にあたって
- O plus E編集部
- ■CMOSイメージセンサーと撮像技術の最新動向
- 名雲技術士事務所 名雲 文男
- ■デジタルカメラにおける撮像素子技術
- 日本大学 豊田 堅二
- ■次世代高性能CMOSイメージセンサーへの取り組み
- テレダインe2v 又川 純一
- ■複数の画素変換ゲインを用いた単一露光による広ダイナミックレンジCMOSイメージセンサー
- ブリルニクスジャパン 後藤 美久
- ■8Kイメージセンサーの開発動向と低電圧増倍膜による高感度化
- 日本放送協会放送技術研究所 大竹 浩,為村 成亨
- ■究極の超高速イメージセンサー
- 立命館大学 江藤 剛治
- ■プログラマブルセンサーによるコンピュテーショナルフォトグラフィ
- 大阪大学 長原 一
特別企画
- ■国際画像機器展2017 特別招待講演
- 中京大学 橋本 学/オムロン 諏訪 正樹
連載
- ■【一枚の写真】ロケットによる太陽X線の高感度観測で見つけた「ナノフレア」
- 宇宙航空研究開発機構 石川 真之介
- ■【私の発言】絶体絶命のピンチととらえられがちなことにも,必ず突破口はある
- 株式会社日本レーザー 近藤 宣之
- ■【輿水先生の画像の話-魅力も宿題も-】第2回 画像のエッジ考-点描画と線画,そしてエッジ検出の四大原理- DISCUSSIONS on EDGE of IMAGE- Stippling and Line drawings for cultivating EDGE DETECTION PRINCIPLES –
- 中京大学 輿水 大和
- ■【光学ゼミナール】第2回 反射と屈折
- 黒田和男
- ■【波動光学の風景】第129回 131. 方解石の結晶構造
- 東芝リサーチ・コンサルティング 本宮 佳典
- ■【干渉計を辿る】第6章 波面収差測定用干渉計 6.2 投影レンズの干渉計測
- 市原 裕
- ■【光エレクトロニクスの玉手箱】第61章 レーザーで見る:ライダー
- 伊賀 健一,波多腰 玄一
- ■研究室探訪 vol. 2
- 慶應義塾大学 青木研究室
- ■【ホビーハウス】合わせ鏡・鏡のしかけの商品
- 鏡 惟史
- ■【コンピュータイメージフロンティア】『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』『トゥームレイダー ファースト・ミッション』『ヴァレリアン 千の惑星の救世主』『レディ・プレイヤー 1』『リメンバー・ミー』『ボス・ベイビー』『シェイプ・オブ・ウォーター』ほか
- Dr.SPIDER
- ■【ホログラフィーアートは世界をめぐる】第2回 不完全な記憶・Encounter“出会い”
- 石井 勢津子
コラム
■Event Calendar■掲示板
■O plus E News/「光学」予定目次
■New Products
■オフサイド
■次号予告
表紙写真説明
CMOSイメージセンサーの撮像性能が成熟期に入り,今や光学的理論限界に接近しつつある。時代は性能追及から機能進化へ。図面は,3層積層による機能進化の一例。画素アレイ層,4重の列並列ADCを備えたロジック層,1 GbitのDRAM層をTSVで接続し3層構造になったCMOSイメージセンサーである。19.3 M画素で1/120秒の高速読み出しを実現し,ローリング歪を軽減する。また,高速映像信号をDRAMに一時記憶することで,低速なセンサー出力の通信速度を克服して,フルHDTV,1,000 fpsのバースト型のスーパースローモーション撮像を実現する。これはスマホカメラXperiaXZs のMotion Eyeとして商品化済みである。[T. Haruta, et al.:“A 1/2.3 inch 20 Mpixel 3-layer stacked CMOS Image Sensor with DRAM”,IEEE International Solid-State Circuits Conference(ISSCC)(2017)]
(関連記事「CMOSイメージセンサーと撮像技術の最新動向」名雲技術士事務所 名雲 文男:詳細は265ページ)
特集にあたってO plus E編集部
ますます高度化するイメージセンサー
昨年(2017年)の流行語大賞にもなった「インスタ映え」という用語が定着したように,写真(画像)や映像が非常に手軽に使え,扱えるようになった。カメラ映像機器工業会が主催の,3月1日から4日間,パシフィコ横浜を中心に開催された,“CP+”(カメラ・映像 関連機器の展示会)も大変盛況であった。撮像のための最も重要な部品の1つが,半導体イメージセンサーである。CCDおよびMOSデバイス技術のイメージセンサーへの応用が始まってから,30年余り経った。
最初は,ビデオカメラ用のイメージセンサーの開発から始まった。それまでは,イメージ・オルシコン,ビジコン,プランビコンなどの“管”であった。映画はもっぱら(写真)フイルムで撮られていた。
その次の大きなトリガーになったのが,1995年にカシオ(株)から発売された,デジタルカメラ(デジカメ)“QV-10” である。そのデジカメの画素数は,約30万画素であった。その後,デジカメの性能は急激に向上し,今や一千万画素を超える画素をもつスマホが当たり前になった。特に,CMOSイメージセンサーの発展が著しい。
画像・映像機器の最重要基幹デバイスであるイメージセンサーは,デジカメだけでなく,その使われ方が多様化している。例えば,車載用,監視カメラ用,ロボットの眼など,ビデオ系を中心に急激に広がっている。それぞれの利用分野で,イメージセンサーの高度化が進んでいる。高度化とは,1.高画素数化, 2.高速化, 3.高ダイナミックレンジ化, 4.高感度化, 5.グローバル・シャッター化, 6.高(演算)機能化, 7.低消費電力化,などである。さらに,産業用・科学技術用途にも新たな応用分野が次々に生まれている。これらの展開に対応すべく,イメージセンサーの最近の技術開発状況を含めて,性能・機能を把握することを,本特集の目的とする。
最近の技術的進展はCMOSイメージセンサーが中心であり,本特集もそれに関連するのがすべてである。しかし,半導体イメージセンサーの発展は,CCDイメージセンサーから始まったので,その歴史,特性について,ここで簡単に述べる。CCDはCharge Coupled Deviceの略語である。
MOS型イメージセンサーは,溜まった信号電荷を画素単位で直接読み出すのに対して,CCD型イメージセンサーは,(小さい)画素に局在した信号電荷を転送して読み出す。CCDはMOSのゲートを複数設けた構造と考えることができる。各ゲートに制御電圧を印加することにより,(光強度)信号としての電荷をバケツリレー的に一方向に移動する。
MOS型イメージセンサーに関しては,1970年代に小画素数のセンサーが試作されたが,その後の固体イメージセンサーは,CCDイメージセンサーに集中し,日本では,ソニーの他に,日立,松下(現:パナソニック),東芝,キヤノン,富士フイルム等が開発を進めた。
CCDイメージセンサーとCMOSイメージセンサーとの特性の比較を,表1に示す。
現在,これらの日本のメーカーでイメージセンサーそのものを外販しているのは,ソニーだけである。ソニーでのイメージセンサー開発・製品化の歴史を当事者の1人が著した本がある1)。その本のタイトルは,『イメージセンサのすべて-CCD/CMOS撮像素子の開発秘話から最先端技術まで』である。その本の帯には,「“電子の眼”に挑んだソニーの研究者が,その開発経緯から今後の技術展望までを余すところなく解説!!」とある。 目次を挙げると,
第1部 イメージセンサの基礎
第1章 イメージセンサの構造と動作
第2章 CCD発明に到る基礎技術
第2部 イメージセンサ開発と商品化の事例(ケーススタディ)
第3章 CCDの研究開発
第4章 カムコーダ,電子カメラ,HDカメラの商品化
第5章 デジタルカメラとカメラケータイへの市場拡大
第6章 知的財産権と特許裁判
第3部 最先端のイメージセンサ
第7章 イメージセンサの最先端技術
第8章 イメージセンサの多様化と拡大する応用システム
第9章 イメージセンサ技術の将来展望
興味ある人には一読をお勧めする。
この特集では,
まず,ソニー(株)で,長年イメージセンサーの開発に携わってきた名雲文男氏(名雲技術士事務所)に,総論的位置付けとして,「CMOSイメージセンサーと撮像技術の最新動向」をお願いし,最近の技術を分類して広くご紹介頂いた。誌面の都合でポイントだけを簡略して紹介頂いたので,読者によってはわかりにくいと感じるかもしれないが,ご容赦頂きたい。
次に,最近益々進化しているデジタルカメラ,およびそれに使われているイメージセンサーについて,「デジタルカメラにおける撮像素子技術」のタイトルで,カメラに詳しい豊田堅二先生(日本大学(元ニコン))にお願いした。レンズによる(光学)結像特性とイメージセンサーとの整合(問題)について,各カメラメーカーがどのように対応していったかの変遷がわかりやすく述べられている。
第3番目として,テレダイン社のイメージセンサー製品の紹介を中心に,「次世代高性能CMOSイメージセンサーへの取り組み」として,テレダインe2vの又川純一氏にお願いした。
第4番目として,ダイナミックレンジを広げることを目的として開発を進めている,ブリルニクスジャパン(株)の後藤美久氏に,「複数の画素変換ゲインを用いた単一露光広ダイナミックレンジCMOSイメージセンサー」の記事をお願いした。
第5番目として,試験的に放送が始まる8Kテレビ放送で使われる,8Kビデオカメラ用イメージセンサーの開発の経緯と高感度化のためのハープ管の技術を半導体イメージセンサーに適応させる技術開発の現状について,NHK放送技術研究所の大竹 浩氏に,「8Kイメージセンサーの開発動向と低電圧増倍膜による高感度化」としてお願いした。
第6番目として,「究極の超高速イメージセンサー」と題して,主に理論的立場より,立命館大学の江藤剛治先生にお願いした。
最後に,「プログラマブルセンサーによるコンピュテーショナルフォトグラフィ」と題して,CMOSイメージセンサーの特長を積極的に使うことにより,新たなイメージセンサーの展開が期待される次世代のイメージセンサーについて,大阪大学の長原 一先生にお願いした。
この特集を組むトリガーの1つになった,日経エレクトロニクス2017年5月号の特集記事「すべてを見通すカメラ」のタイトルを挙げておく。
第1部:機器動向
始まったカメラの知能化車載や監視,FAがけん引
ポストはドローン向けと多波長カメラ
第2部:超知性化技術
測距,多波長化,高速化・・・,超知性に向けた開発が加速
最後に,自社製イメージセンサーを組み込んで(ビデオ)カメラを製造・販売している他の会社にも,最近のイメージセンサーについて執筆して頂きたかったが,諸般の事情により,それらの記事を掲載できなかったことを付け加えておく。
参考文献
1) 越智成之:イメージセンサのすべて-CCD/CMOS撮像素子の開発秘話から最先端技術まで,工業調査会(2008)
広告索引
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