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1億枚/秒のイメージセンサーによる光の飛翔の撮影近畿大学*,立命館大学**,竹原幸生*,下ノ村和弘**,沖中知雄*,高野保英*,江藤剛治*, **

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 光の伝搬速度は真空中で299,792,458 m/s,およそ30万km/s であり,当然,肉眼で「光の飛翔」を観察することはできない。光の飛翔の撮影は多くの科学者が興味をもち,特殊な技術による撮影例はあるが,これまでイメージセンサーを用いたカメラにより連続撮影された例はなかった。
 近畿大学は平成3年(1991年)に4,500枚/秒の当時世界最高速のビデオカメラを開発して以来,平成13年(2001年)には100万枚/秒のビデオカメラを開発するなど,ビデオカメラの撮影速度の世界記録を更新してきた。開発されたビデオカメラは市販化され,自動車業界をはじめとする様々な分野で応用され,世界の科学技術の進展や放送業界に貢献してきた。
 このたび近畿大学と立命館大学は,科学技術振興機構のA-STEP事業の支援を受け,アストロデザイン株式会社と協力して,1億枚/秒の撮影速度で連続10枚撮影できる高感度超高速度カメラを開発した(図1)1)。イメージセンサーを使ったカメラとしては,世界で初めて光の飛翔の連続撮影に成功した。このカメラは,裏面照射により超高速撮影に必要な高い感度と,30万画素という超高速カメラとしては高い空間分解能を実現した。
 図2は,10ナノ秒ごと(光は約3 m進む)に撮影された,飛翔する光の10枚の連続画像のうちの3枚を示している。撮影された画像はグレースケールであるが,緑の疑似カラーを加えている。実験では,ナノパルスYAGレーザー(波長532 nm)から,パルス幅5 ns の単発のレーザー光を照射し,7 m43 cm間隔で相対する2枚の大型鏡(60 cm×162 cm)の間を反射させる(図3)。なおレーザー光の出力が300 mWと大きく,通常の鏡を使用するとアブレーションを起こすため,最初のレーザー光反射位置には,高出力レーザー用の鏡をミラーホルダーに取り付け,約4°上方に傾けてレーザー光を反射させた。また,レーザー光はそのままでは目に見えないため,フォグマシーンを3台用いて,鏡間に3 m15 cm上方から一様に霧が薄膜状に落ちるようにし,レーザー光が可視化できるようにした。
 今回開発した1億枚/秒の超高速イメージセンサーを用いたカメラは,他の撮影技術に比べて格段に利便性が高いので,今後の科学技術の発展に大きく貢献することが期待される。

参考文献
1)江藤剛治:究極の超高速イメージセンサー,特集:ますます高度化するイメージセンサー,O plus E,Vol. 40,No.3,pp.286-295(2018)

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