様々な機能性タンパク質開発を加速する人工知能でタンパク質を自動設計東北大学,理化学研究所 研究グループ
その研究背景として,バイオ産業の研究開発では,抗体や酵素などの機能性タンパク質を改変し,その機能を向上したいというニーズが広く存在している。従来では,対象のタンパク質にランダムな変異を導入して多数の変異体タンパク質(ライブラリー)を調製し,その中から目的の機能を有するタンパク質を実験によって探し出すという方法が行われてきた。しかし,この方法は多数の変異体について実験を行うため,大きな費用を必要とした。また,あり得る変異体の数は膨大であるために,ライブラリーの中に目的の機能を有するタンパク質が含まれていない可能性も少なくないという課題を抱えていた。
今回,人工知能によってタンパク質の機能改変を効率化する手法を開発し,少数の実験データを人工知能に学習させることで,目的の機能を有するタンパク質を豊富に含む変異体群(スマートホットライブラリー)を提案可能にした。
同グループは,本手法の有効性において緑色蛍光タンパク質(GFP)を黄色蛍光タンパク質(YFP)へ改変する問題に本手法を適用して,既知YFPよりも蛍光性能の高い新規YFPを多数発見することを実証,成功した。今後,抗体や酵素などの医療・食品・環境で役立つ様々な機能性タンパク質の開発を加速することが期待される。