光で粘弾性を制御できる易加工性ポリマー材料を開発産業技術総合研究所 研究グループ
今回開発した材料は,光応答性部位を持つポリマーで,通常のプラスチックと同様に,加熱成形によりフィルム状などの任意の形態に加工できる。また,紫外光を数分間照射すると柔らかくなり,可視光(緑色光)を数分間照射すると硬くなるという性質を持ち,この軟化と固化のサイクルを繰り返すことができる。材料全体または表面が柔らかい状態では,材料の粘着性(接着性)や摩擦力,材料の衝撃吸収性がより高く,これらの特性を光照射により可逆的に変化させることで,光機能性材料としての応用が期待される。
例えば,粘着性の変化に着目して,この材料をテープ状に加工すれば,非加熱状態での可逆的な着脱が可能なスマート接着剤が実現できる。その結果,接着のやり直しや使用後の接合部材のリサイクルが容易になり,接着接合プロセスの歩留まり向上や省資源化につながる。特に,精密光学材料の仮止めや付け直し,医療用部材の低刺激での着脱,リワーク性に優れた部品組み立て方法の実現が期待される。