セミナーレポート
高精細映像とAIで進化する警備サービスALSOK セキュリティ科学研究所 桑原 英治
本記事は、国際画像機器展2018にて開催された特別招待講演を記事化したものになります。
>> OplusE 2019年1・2月号(第465号)記事掲載 <<
警備システムとICT
警備業務は警備対象に応じて1号~4号業務に分類され,すべて警備業法という法律で規定されています。1号業務は,ホームセキュリティに代表される施設警備で,機械による警備やガードマンによる常駐警備があります。2号警備は交通誘導や雑踏警備(イベント警備),3号警備は,現金輸送や核燃料などの警備輸送,4号警備はSPと言われるような身辺警備です。これらはこれまですべて人が汗をかいて行っていましたが,人手不足が顕在化する中でIT化が進められています。1号業務の施設警備では,全国に当社のセンサーが250万か所,約5000万個取り付けられています。何かが起こるとセンサーが働き,警報が鳴ります。この件数は年間7億6000万件にのぼり,全国約2400か所の待機所の警備員が,そこから現場に駆けつけます。警備業法では警報受信から25分以内に駆けつけることになっていますが,ALSOKでは企業努力により,より早い駆けつけが可能です。ここでのICTの活用としては,警報が鳴った場所の最寄りの警備員がどこにいるかという情報をGPSで得て,自動手配する仕組みを構築しています。
2号警備の交通誘導,雑踏誘導は一番ICT化が遅れていますが,AIやドローンなどの活用を進めています。3号警備の現金輸送では,セブン銀行の全国2万1000台のATMへの現金の補充・回収を行っており,ICTを利用し正確な現金需要を予測することで,より効率的な警備輸送を実現しています。
4号業務では,子ども・女性・高齢者を見守る緊急通報サービスとして,「まもるっく」というモバイル端末を活用したセキュリティサービスの提供があります。通話機能やGPS,加速度センサーを備えた多機能モバイルセキュリティ端末により,お年寄りの転倒や徘徊,女性・子どもの安全を見守り,緊急通報や異常を感知した場合には警備員が駆けつけます。また,「みまもりタグ」を取りつけた専用靴による認知症徘徊の見守りシステムなども提供しています。
<次ページへ続く>
ALSOK セキュリティ科学研究所 桑原 英治
1982年,日本電信電話公社入社,1992年,ジュネーブ海外事務所にて海外ビジネスに従事。2002年,NTT-ME次世代ネットワーク事業部長として通信ビジネスに従事。2005年より東日本電信電話㈱ ビジネスソリューション部長,NTTコミュニケーションズ㈱法人事業本部第四法人営業本部長として,法人ビジネスに従事。2011年,綜合警備保障㈱執行役員商品サービス企画部長。2018年より同社 セキュリティ科学研究所長として警備ビジネスに従事。現在に至る。