有機太陽電池の駆動に必要なエネルギーを解明理化学研究所,千葉大学 研究グループ
今回,同グループは,異なる分子構造と電子エネルギーをもつ電子供与性と電子受容性の有機半導体を4種類ずつ用いて,合計16個の平面ヘテロ接合構造をもつ有機太陽電池を作製し,材料の電子エネルギーと電流発生効率の相関を系統的に調べた。その結果,有機半導体の励起状態と界面での電荷移動状態の間に0.2~0.3 eVのエネルギー差があるときに,最も効率的に光を電流に変換できることを見いだした。一方で,これまで重要と考えられてきた電荷移動状態と自由電荷状態のエネルギー差は,電荷生成効率(太陽電池が吸収した光子に対して生成する電子の割合)との明確な相関が見られなかった。今後,有機太陽電池の発電メカニズムの解明につながるとともに,高効率化に向けた新しい材料開発に貢献すると期待される。