OplusE 2019年11・12月号(第470号)
- 目次
- 特集のポイント
- 広告索引
特集
自然に挑む画像センシング技術~農林水産業の現場でいかに役立つか?~
- ■特集にあたって
- 慶應義塾大学 青木 義満
- ■フィールドセンシング時系列データを主体とした農業ビッグデータの構築手法
- 東京大学,ドリームサイエンスホールディングス 平藤 雅之
- ■農業者に寄り添い,支援する農業ロボット技術
- 慶應義塾大学 萬 礼応
- ■スマート農業に向けたセンシング技術活用の取り組み
- パナソニック 湯下 良一,上田 大介,新崎 誠,岡本 眞二,寺島 祐二,藤山 毅
- ■LiDARを搭載したドローンによる森林毎木調査:スマートフォレストリーに向けて
- 東京電機大学 岩瀬 将美
- ■道総研の水産研究におけるセンシングとIT技術
- 北海道立総合研究機構 山口 幹人
- ■持続可能な水産業を支援するための画像情報処理技術
- 熊本大学 戸田 真志
- ■深層学習を用いた遊泳する養殖魚の尾数推定
- 近畿大学 波部 斉,阿部 孝司,井口 信和
- ■畜産業界における画像センシング技術の利用
- 北海道立総合研究機構 森安 悟
- ■映像情報を用いた繁殖牛分娩検知システムの構築と運用法に関する研究・開発
- 早稲田大学*,知能フレームワーク研究所** 小川 哲司*,斎藤 奨*,**,中野 鐵兵*,**
特別企画
- ■画像センシング展2019 招待講演【自動運転・AI】
- センスタイムジャパン 勞 世竑
- ■画像センシング展2019 誰にでもわかる特別講演【ロボットビジョン】
- 中京大学 秋月 秀一
連載
- ■【一枚の写真】細胞と組織を水環境のままで観察できる電子顕微鏡ASEM
- 産業技術総合研究所 佐藤 主税
- ■【oe 玉手箱のけむり】その4 AIと光
- 伊賀 健一
- ■【私の発言】制約のないものはない。制約を楽しむ気持ちを持ち,最適化を求め過ぎず,スピードを大切にして欲しい
- 東京大学大学院 情報理工学系研究科 教授 廣瀬 通孝
- ■【輿水先生の画像の話-魅力も宿題も-】第12回 続・続・Hough変換と大局視覚実装について―ヒト視覚とコンピューター視覚強化作戦―A Further Sequel of Hough Transform for Implementing Global Vision- On the Way to Enforce Computer Vision from Human Vision -
- YYCソリューション/中京大学 輿水 大和
- ■【光学ゼミナール】第12回 完全結像
- 宇都宮大学 黒田 和男
- ■【波動光学の風景】第139回 141. 水晶の旋光性
- 東芝 本宮 佳典
- ■【干渉計を辿る】第12章 偏光の干渉とエリプソメーター12.2 エリプソメーター
- 市原 裕
- ■【研究室探訪】vol. 12 東京電機大学 知能機械システム研究室(中村研究室)
- 東京電機大学 知能機械システム研究室(中村研究室)
- ■【国立天文台最前線 先端研究を支える人たち】第10回 電波天文観測の環境を守る天文情報センター周波数資源保護室
- 荒舩 良孝
- ■【ホビーハウス】変わった形のパンフレットと表面色知覚の問題
- 鏡 惟史
- ■【コンピュータイメージフロンティア】『アナと雪の女王2』『ヒックとドラゴン 聖地への冒険』『映画 ひつじのショーン UFOフィーバー!』『男はつらいよ お帰り 寅さん』ほか
- Dr.SPIDER
- ■【ホログラフィ・アートは世界をめぐる】第12回 太陽の贈り物シリーズ part 1 ―野外インスタレーション―
- 石井 勢津子
コラム
■Event Calendar■掲示板
■O plus E News/「光学」予定目次
■New Products
■オフサイド
■次号予告
表紙写真説明
図は,エンジン型ドローンに搭載されたLiDARによって麓の立木を計測し,その3次元点群データを復元したものである。色の違いはレーザー光の反射強度を表している。ドローンは森林内を飛行し,計測点でホバリングしながら,LiDARによって周囲の立木の3次元データを取得する。ホバリング中でもドローンはふらつくため,LiDARの計測データもその影響を受ける。そこで,機体に取り付けた慣性センサーで機体の姿勢変動を同時に計測し,その情報をもとに計測データを補正する。復元された3次元データから,樹木の直径や樹高,地形データを読み取り,林業施工に利活用する。(関連記事「LiDARを搭載したドローンによる森林毎木調査:スマートフォレストリーに向けて」東京電機大学 岩瀬 将美:詳細は831ページ)
特集にあたって慶應義塾大学 青木 義満
自然に挑む画像センシング技術~農林水産業の現場でいかに役立つか?~
第1次産業である農林水産業では,人口減少や就業者の高齢化に伴い,就業人口の減少が進んでいる。農業を例に挙げると,2010年からの8年間において,約3割も減少しており,今後,生産の量と質を確保しながら持続可能な農業を促進していくことが求められている。その対策として,近年,農業,林業,水産業,畜産業の現場において,IoTやロボット技術に関する研究開発,および利活用の検討が精力的に行われている。特に,時々刻々変化する現場の状況を適切に計測・把握するセンサーおよびセンシング技術,大量の情報(ビッグデータ)を記録・蓄積・伝送するネットワーク技術,人の労働を支援し,代替可能なロボット技術は,これら第1次産業の現場におけるニーズが非常に高い。そこで,本特集では,農業・林業・水産業・畜産業の第1次産業に焦点をあて,様々な切り口から取り組まれている研究開発事例を多数紹介している。フィールドにおける植物や環境に関するデータ収集技術,これらのデータを統合したビッグデータは,品種や栽培技術の開発を加速するための有用なツールとなることが期待されている。東京大学の平藤雅之氏には,野外のフィールドの現場で,多数のセンサーネットワーク(フィールドサーバー)やドローンから得られた時系列データを統合,蓄積し,活用するシステムについて,これまでの取り組みの成果に加え,実地実験によって得られた技術面,運用面での諸課題と今後の展望についてご執筆いただいた。
農業における就業人口の不足と収穫物の質の低下は,世界的に大きな課題となっている。その課題に対し,新たな労働力となり得る農業ロボットの研究・開発がさかんに行われている。日本では,中小規模の農地が多いことから,水やり,除草,収穫等の作業が人によって行われることが多く,その作業を支援する技術に対する需要が高まっている。フィールドで農作業を行うユーザーに寄り添って移動しながら,収穫物運搬支援を行い,自己位置推定技術によってマップ上でのユーザーの作業情報や収穫量などを記録可能な自律多機能型農業ロボットについて,慶應義塾大学の萬礼応氏に解説していただいた。また,パナソニック株式会社の湯下良一氏らには,トマト等の作物の収穫判定を画像ディープラーニング(深層学習)によって自動化する技術,赤外線レーザーを用いた水分センサーを活用した植物生体情報センシングの事例についてご紹介いただいた。
日本は国土の70%近くが森林に覆われており,森林資源を維持・活用していくための森林整備が必要である。しかし,急峻な場所での作業が多く,人件費の増加や作業時の安全性の問題などがあることから,森林現況のモニタリングを可能とする,スマートフォレストリーに関する技術開発が求められている。LiDARを搭載したUAV(Unmanned Aerial Vehicle)が自律飛行によって森林の3次元精密計測を行うシステムの開発を行っている,東京電機大学の岩瀬将美氏に,システムの概要と長野県の山中で行われた実証実験の結果についてご執筆いただいた。
水産業において「海をみる」ことは,水産資源の保全や評価,漁獲計画の立案等において重要であり,生産量の安定化を実現するために必須である。このことから,海や生物の状態を計測,可視化して把握する画像センシング技術への期待が高まっている。北海道立総合研究機構(道総研)中央水産試験場(水試)の山口幹人氏には,道総研水試が実施している海洋環境把握,資源管理,漁業管理におけるIT活用事例,およびそれらの産業における位置づけや方向性について述べていただいた。熊本大学の戸田真志氏には,漁場の水中環境を広域に可視化する方式での調査に対する画像処理技術の利用事例,および代表地点での緻密な海域情報分析を支援する画像計測ツールについて,詳しく紹介していただいた。近畿大学の波部斉氏らには,映像を用いた非侵襲な養殖魚尾数推定技術について,深層学習をどのように課題解決に用いたかを含め,解説していただいた。
畜産業についても見ていきたい。近年,北海道を中心に,農家は急速に大規模化,企業化しつつあり,かつ人手不足や高齢化が急速に進んでいるため,人の働きを代替できる技術や職人技を機械が置き換える技術の導入に期待が高まっている。北海道立総合研究機構畜産試験場の森安悟氏には,牛枝肉格付けへの画像センシング技術の活用,超音波による生体の肉質診断,繁殖分野における画像センシング技術の利用の現状についてご執筆いただいた。
また,畜産において重要な繁殖分娩のタイミングを検知するシステムを開発している早稲田大学の小川哲司氏らに,映像情報を用いた牛の分娩検知手法についてご紹介いただいた。システム運用においてキーとなっているクラウドソーシングによるデータ蓄積のアプローチ,画像解析手法などを解説していただいている。
以上,本特集では,第1次産業の現場において導入が検討されているIoTやロボット技術に関する研究開発の取り組みについて,幅広い観点から,現状ではどのようにそれらの技術が利活用されているかを俯瞰できる内容となった。それぞれの寄稿においては,単なる技術開発の内容のみならず,現場における活用を目指した上での課題や今後の展開についても触れていただいている。これらより,農林水産業における先端技術活用の現状と,今後の発展可能性を感じていただければ幸いである。
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