セミナーレポート
画像を利用したインフラ維持管理におけるデータ管理手法株式会社イクシス 代表取締役 山崎 文敬
本記事は、国際画像機器展2019にて開催された特別招待講演を記事化したものになります。
>> OplusE 2020年3・4月号(第472号)記事掲載 <<
橋梁点検要綱改訂でロボットやカメラでの点検が可能に
国内におけるインフラは,高度成長期につくられたものが大半で,50年,60年を経過して老朽化が進んでいます。2022年には40%が,2032年には65%が50年を超えると言われ,点検の重要性が指摘されています。こうした中,国はロボットによる新たな産業革命を戦略の大きな柱に掲げ,内閣府の未来投資会議においても5つの重要戦略の1つに次世代インフラを挙げています。そこでは,インフラをデジタル化し,補修点検はAIやロボット,センサーなどの革新技術を積極的に使い,得られたデータを活用し,メリハリの利いたメンテナンスを実現することが謳われています。さらに,国土交通省(以下,国交省)の土木研究所ではAI共同研究開発を2018年9月に立ち上げ,私たちはその中の「点検AI(画像解析)開発グループ」に参加しています。
2019年3月,国交省の5年に一度の「橋梁点検要綱改訂」がありました。従来,構造物の点検は,近接目視とされていました。これは手の届く距離で,目で見なければいけません。この点検要領により,カメラで撮影したり新技術を投入したりすることができませんでした。その後,目視と同等であれば認められることになり,ロボットやカメラでの点検に道が開けました。しかし,「新技術利用のガイドライン」では,国交省が評価した「点検支援技術性能カタログ」に記載されたものでなければ使えず,発注者と受注者の協議と承認が必要になります。ただし,現場で使うものに関しては,性能カタログに載ることが必要条件にはなったので,メーカー各社は取り組みを加速させています。
性能カタログでは,どのタイプの橋梁にその技術が使えるか,どの部位に使えるかを確認することが必要です。例えば,コンクリート構造物であれば,床版のひび割れや剥離,鉄筋露出,漏水,遊離石灰などを点検し,区分判定を行います。
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株式会社イクシス 代表取締役 山崎 文敬
2000年 早稲田大学大学院理工学研究科修了。2003年 大阪大学大学院工学研究科博士課程単位取得退学。
1998年~ 株式会社イクシスリサーチ(現 株式会社イクシス)代表取締役