光を集めるアンテナをもつ有機マイクロ結晶レーザーを開発筑波大学,神奈川大学,九州大学,東京工業大学,科学技術振興機構,産業技術総合研究所,(株)リガク,デュイスブルクーエッセン大学(ドイツ) 研究グループ
神奈川大学 辻教授らが2012年に開発した炭素架橋オリゴフェニレンビニレン(COPV)は,発光特性と光耐久性が優れたπ共役系有機分子であり,これまでに,薄膜あるいはマイクロ結晶によるレーザー発振が報告されている。今回,本研究グループは,COPVに,光捕集機能をもつ樹状分子部位(カルバゾールデンドロン)を付与することで,効率的な光エネルギーの捕集が期待できる巨大分子を設計・合成し,その結晶化に成功した。得られたマイクロ結晶を紫外光で励起すると,樹状分子部位が光アンテナとして機能し,光エネルギーが効率的にCOPV部位に捕集される。さらに,マイクロ結晶端面における光の全反射により発光が結晶内部に閉じ込められ,レーザー発振が起こることを明らかにした。
このような光捕集機能をもつ有機マイクロレーザーは,レーザー発振の低閾値化をもたらすと考えられる。
また,微小レーザー光源や,光回路,化学・バイオセンシングとしての応用が期待される。