原子点接触の形成による巨大なラマン応答の発見分子科学研究所,フリッツ-ハーバー研究所(ドイツ)

 分子科学研究所メゾスコピック計測研究センターの国際研究チームは,フリッツ-ハーバー研究所(ドイツ)と共同で,探針増強ラマン分光の先端計測技術を応用した原子スケールの極微分光法を開発し,今回,銀の探針と単結晶シリコン表面との間に原子点接触を形成した際に巨大なラマン応答が得られることを発見したと発表した。
 現代の高度情報化社会を支える半導体産業において,電子デバイスの超微細加工はシングルナノメートル(10億分の1メートル)の領域に入っており,今世紀に入りその発展をさらに加速させているナノサイエンス・ナノテクノロジーの分野において,原子スケールの極微分光の開発が求められている。
 今回新たに発見した現象は,物質表面の化学構造を原子スケールで調べることのできる超高感度の極微振動分光への応用が期待される。また,開発した極微分光計測は今後,原子スケールの光と物質の相互作用について新しい原理を見出す研究への展開が期待される。

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