光反応のエネルギー効率を大幅に向上させる新技術を開発~光磁場で三重項状態の直接励起を実現~金沢大学,神戸大学
分子の励起三重項状態は,寿命が長くさまざまな光化学反応に利用される。しかしながら,基底(一重項)状態から三重項状態への励起は電子スピンの反転を伴う“禁制遷移”であるため,三重項状態は項間交差を介した間接的な過程で励起されている。同グループは,誘電体ナノ構造の配列構造(光メタ表面)の磁場増強効果を利用して,これまでほとんど考慮されなかった“磁気双極子遷移”を促進し,三重項状態間の励起効率を飛躍的に増大させることに成功した。また,従来よりも低いエネルギーの光でターゲット分子を励起三重項状態にすることを実現した。本成果は,分子の光励起のエネルギー効率を大幅に向上させる新しい技術であり,今後,新しい光反応制御手法の開発につながると期待される。