普及型の500倍スピンで超高感度なひずみセンシングを実現大阪大学,科学技術振興機構
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大阪大学,科学技術振興機構の研究グループは,世界最高感度のフィルム型ひずみゲージをスピントロニクス素子で実現したと発表した。
ひずみゲージは,材料が外力に比例して変形するひずみを,電気信号として検出するセンサーのことである。構造物のひずみや圧力検出,人体の活動から生まれるデータセンシングするデバイスなどにも活用されている。グループは柔らかいプラスチックフィルム(フレキシブル基板)上に,ハードディスクの読み取りヘッドや固体磁気メモリーに利用されているスピントロニクスデバイス=磁気トンネル接合素子を形成し,フィルム型のひずみゲージを作製した。その結果,約1000という巨大なゲージ率を実現した。これは広く普及しているフィルム型の金属箔ひずみゲージに比べ,500倍ものひずみ検出感度に相当する。
今回の成果は,磁気記録の高度化が主な使命であったスピントロニクスの,従来の延長線上にない社会実装を先導するものである。また,ひずみなどの力学情報は,医療やヘルスケア・仮想空間・インフラモニタリング・自動車・航空宇宙・物流など,IoT社会の広い場面で活用され,フィジカル空間における極めて重要なセンシング対象である。したがって,これらの情報はSociety 5.0の実現に不可欠であるサイバー空間とフィジカル空間を高度に融合させたサイバーフィジカルシステムの高度化に大きく貢献する。さらに,磁気トンネル接合は集積化も可能であり,フィルム型のひずみゲージは柔らかいため,生体親和性をもたせることも容易である。したがって今回の成果が,より解像度の高いさまざまな力学情報を人類に提供する新たな手段となり,新たな産業へと発展することが期待される。