OplusE 2019年1・2月号(第465号)
- 目次
- 特集のポイント
- 広告索引
特集
もっと光学を!さらなる夢を!
- ■ますます広がる光技術
- 東京工芸大学 渋谷 眞人
- ■干渉計測私観:俯瞰的統合理解にむけて
- 宇都宮大学 武田 光夫
- ■AI革命と光学技術
- ニコン 大木 裕史
- ■2光束干渉計を用いたフェムト秒級パルスの伝搬シミュレーション
- 日本大学 柴田 宣
- ■ICTが支える光のスマート農業~NTTグループの取り組みと将来像~
- 日本電信電話 久住 嘉和
- ■光学設計技術の進展
- サイバネットシステム 秋山 健志
- ■半導体先端物理解析技術を支える光技術
- 東芝メモリ 圷 晴子
- ■宇都宮大学の光学教育
- 宇都宮大学 谷田貝 豊彦
- ■古典光学の匠―4K・8Kと放送用カメラ
- キヤノン 塗師 隆治
- ■もっとつながろう!~医療・ライフサイエンス領域における光技術の今後の発展に向けて~
- オリンパス 橋本 武
特別企画
- ■国際画像機器展2018 招待講演【セキュリティ】
- ALSOK セキュリティ科学研究所 桑原 英治
連載
- ■【一枚の写真】不可視光線
- 東京工業大学 松谷 晃宏
- ■【私の発言】限界は打ち破ることができないが壁は皆が協力すれば乗り越えられる
- 日本電信電話株式会社(NTT)取締役会長 篠原 弘道
- ■【輿水先生の画像の話-魅力も宿題も-】第7回 画像研究いつまでも!そのススメ方―“陸沈”としての定年―How should we be eternal in IMAGE RESEARCH activities?―Retirement as “RIKUCHIN” ―
- YYCソリューション/中京大学 輿水 大和
- ■【光学ゼミナール】第7回 偏光素子
- 宇都宮大学 黒田 和男
- ■【波動光学の風景】第134回 136. 偏光複像プリズム
- 東芝 本宮 佳典
- ■【干渉計を辿る】第10章 反射型ホログラムの開発
- 市原 裕
- ■【光エレクトロニクスの玉手箱】第66章 光は粒か,電子は波か:まとめて量子を考える(その3)
- 伊賀 健一,波多腰 玄一
- ■【霜田光一に聞く電波と光の最前線開拓】第Ⅲ章 戦後のマイクロ波研究とメーザーの誕生・発展―C. H. Townesとの交わりを中心に―
- ヒアリンググループ
- ■【研究室探訪】vol. 7 東京工芸大学 工学部 光学設計研究室
- 東京工芸大学 工学部 光学設計研究室
- ■【国立天文台最前線 先端研究を支える人たち】第5回 最先端の天文学をものづくりで支える先端技術研究センター
- 荒舩 良孝
- ■【ホビーハウス】新技術を用いたしかけ絵本 2018年の進展
- 鏡 惟史
- ■【コンピュータイメージフロンティア】『ファースト・マン』『アクアマン』『メリー・ポピンズ リターンズ』ほか
- Dr.SPIDER
- ■【ホログラフィ・アートは世界をめぐる】第7回 アンダーグランドアート―Retretti Art Center・Finland―
- 石井 勢津子
コラム
■Event Calendar■掲示板
■O plus E News/「光学」予定目次
■書評『ニコン大井工場物語-ステッパー開発記』/鶴田 匡夫
■New Products
■オフサイド
■次号予告
表紙写真説明
長作動距離専用対物レンズ(右図)を付帯した2光子励起顕微鏡は,チタンサファイヤレーザーの波長800 nmの光を用いることで,スケール溶液を用いて透明化したマウス胎仔(左図)の脳表面から大脳皮質,海馬を超え視床までの4~8 mmぐらいの領域の深部観察を可能にさせた。「薬剤とのコラボで,散乱を除いて見る」という発想のアプローチが,透明化溶液と非線形光学の融合で具現化した例と言える。(関連記事「もっとつながろう!~医療・ライフサイエンス領域における光技術の今後の発展に向けて~」オリンパス 橋本 武:詳細は73ページ)
ますます広がる光技術東京工芸大学 渋谷 眞人
もっと光学を!さらなる夢を!
21 世紀は光の時代であるといわれて久しいが,科学技術においても産業においても光学は非常に重要な地位を占めていることは確かだろう。21 世紀に入って,光COM,光ファイバー,CCD,青色LED,光ピンセット,緑色蛍光蛋白,超解像蛍光顕微鏡など,多くは前世紀に発見発明されたものではあるが,様々な光技術がノーベル賞を受賞している。学会・産業界の団体やセミナーにおいてOptics からOptics and Photonicsというように名称・呼称が変わってきていることからも,光が中心となる領域がだんだん広がっていることが分かる。日本光学会の光設計研究グループが,光学設計ではなく光設計「ひかりせっけい」と称したのは,そのような分野の広がりを強く意識していたからだと思う1)。OpticsとPhotonicsの境界は曖昧で人によって判断は異なるだろうが,光学技術・光技術は基礎学問としても,すなわち教育においても,電気電子工学や機械工学などに劣らない大きな柱でなければならないと思う。昨年(2018年)11月に広島で開かれたODF(Optics-photonics and Fabrication)2018という国際学会でも感じたが,産業を支えるレンズ設計の基礎的なテーマ,例えば自由曲面(Free Form)やDOE(Diffractive Opticcal Element)を,米国の大学やドイツのフラウンホーファー研究所は,深く掘り下げて体系的に研究開発している。それはそのまま,自動車産業やAR/VR産業あるいはIndustry-4.0の発展を支えることになり,さらに大学生・大学院生教育につながっているようである。日本の貧考なお上と違って,ノーベル賞につながらないようなものでも,そもそもその種がどこにあるか分からないからこそノーベル賞であるが,産業界に必要なら基礎研究・教育を堅実に支援しているように思われる。歴史を振り返っても,プランクの輻射則はドイツ製鉄業での温度計測から発見され,量子力学につながっていく。
私はISOの国際会議に毎年参加しているが,光学技術がますます進化していることを実感する2)。ISO/TC172 Optics and Photonicsの国内委員長,さらにそのSub Committee であるSC1 Fundamental Opticsの国内分科会長である。TC172 にはそのほかに,SC3 光学材料,SC4 望遠鏡,SC5 顕微鏡・内視鏡,SC6 測量機,SC8 眼鏡,SC9 レーザーがある。今回寄稿していただいているオリンパスの橋本武氏は,SC5の国内分科会長として国際会議においても活躍されている。また,TC172の国際議長はO plus E 2018年5・6月号の「私の発言」に出ているUlrich氏である。
ISOから見える光学技術や産業支援について,多少の私見を交えてごく簡単に述べたいと思う。TC172として最近AR/VRに関するad-Hocグループ(特任部会,臨時専門部会)が,立ち上がった。まだ本格的に始動していないようである。すでにIEC /TC110 “Electronic display devices” /WG12 “Eyewear display”やISO/TC159 “Ergonomics (人間工学)” /SC4 “Human System Interaction” /WG2 “ virtual display requirement” and WG12 “Image safety”では,日本がかなり中心になって実用に沿った議論や規格が,それも光学系に直結して進んでいることもあり,それとの棲み分けを模索している段階なのかもしれない。AR/VRは今後大きく成長する可能性があり,またドイツが提唱されたIndustry-4.0にも大きく関係してくるので,すでに述べたようにドイツや米国は国としてしっかりと技術支援していきたいのだと思う。SC1では,レンズ研磨面の表面検査のマシンビジョンが,ドイツ,米国を中心に議論が盛んだが,これも,Industry-4.0に関係するように思う。Free-formやDOEの図面企画の検討も熱心に行われているが,もともとドイツは日本に比べて部品の外注加工が盛んなようである(これがIndustry-4.0に早くから取り組もうとした,あるいは取り組めた,1つの大きな理由かと思う)。そのため,図面にかなりの情報を,私から見ると会社のノウハウに近いようなことまで書くように,規格を制定しているように思われる。
光技術に対する国の組織的な支援という意味では,産業面からも教育面からも日本は置いてきぼりになっているように思うが,それにも負けず多くのすぐれた研究開発が学会でも産業界でも進んでいることも確かである。年の初めのO plus E特集として,産業界や大学において各分野で先導的で革新的な研究や開発をなされている方々に,光技術への思いや夢を,あるいは教育への熱い心を書いていただいた。どの原稿も,光技術が純粋な科学として,産業として,どのように発展していくのか,深い知見に基づいてその遠望が見渡せるような記事になっている。著者の方々に感謝するとともに,日本の光学会・産業界が力強く発展することを祈る。
参考文献
1) 渋谷眞人:「光設計研究グループ」(第63回光設計研究グループ研究会,巻頭言,2017年10月18日)
2) 渋谷眞人:“第31回ISO/TC172/SC1報告”,日光協ニュース,No.218(2018年10月)WEBから無料引き出し可
広告索引
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