第14回 太陽の贈り物シリーズ part 3 古代ローマ遺跡のインスタレーション
ベルニサージュと後片付け
開会前日はアットホームなベルニサージュが開かれた。会場は博物館建物の中庭である(図15)。この中庭には大きなオリーブの木が植えられていて,10月であったが,緑の実をスズナリにつけた枝を大きく広げ,その枝は手の届く高さまでしだれていた。女性客の1人がこのオリーブの実をたくさん摘んでいた。 そして,テープカットが行われた(図16)。屋外のパーティは気分爽快である(図17)。日本ではなかなか味わえないシチュエーションだ。私のために特製のネーム入りケーキを準備してくれたが,なぜかスペルが間違っていた(図18)。異国人の名前は誰にとっても難しいものだ。ご愛敬である。 そして,短い1週間の会期を終えると,すべて元通りにする撤去作業が待っている(図19)。 野外のインスタレーションには,多くの現地作業が欠かせない。いずれの作品も,常に多くの人たちの協力によってはじめて実現可能となったことに「感謝」である。 後日,イタリアに住む友人が,Villa dei Quintiliの展覧会担当者が「これまでの展覧会の中で,一番良かった」と言っていたと教えてくれた。また,数年たったころ,海外のインターネットの写真家サイトに,このインスタレーションのあるVilla dei Quintiliの写真(Setsuko Ishiiのクレジット入り)が載っているのを偶然見つけた。まったく知らない人物だった。作家本人の関知しないところで,作品が人々に受け入れられていたと知ることは、アーティストにとって創作活動を続けるうえで,どんなに勇気づけられることだろう。貴重な応援のエネルギーである。