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第16回 台湾交流録 part 2 予期せぬ展開

多国籍の作品たち


 図11から図13は会場および出品作品のドキュメントである。出品作品を決めるうえで考慮したことは,(1)タイプによって特徴が異なるので,多様なタイプを含める。(2)この会場に展示可能なこと。天井から下げる作品は避けた。(3)インスタレーション作品を加える。(4)空輸のため重量やボリュームを抑えた。図12(a)は大型の壁掛けインスタレーション「視感温度α」の一部分だけを展示した。ホログラム面の前後に再生される毛糸のリアルな三次元の画像は,視覚だけで柔らかな感触を想起させる。このパルスマスターの銀塩反射型ホログラム(30 cm×40 cm)は,1987年に10か月間ほどパリに滞在していた時,ストックホルムのラボで制作したものだ。図15のポートレートも同じストックホルムのラボで制作されたが,マスターホログラムは1994年にシカゴで撮影されたものだ。(b)は植物のシルエットのDCG反射型である。床に置かれた水中の鏡で反射した光で像を再生する。天井から水滴を落としてできる水面の波紋が,ホログラムと壁面に現れる水のインスタレーションである。(c)はレインボウマルチカラーのシャドウグラム(30 cm×40 cmガラス乾板),1985年ニューヨークのMOH(Museum of Holography)のA.I.R(Artist in Residence)(本シリーズ第4回に掲載)で制作した1枚である。(d)も同様の透過型で,絵具を光の色,絵筆をホログラフィー技術,キャンバスを空間に置き換えて描いた作品。バーリントン(アメリカ,VT)のラボで制作した。フィルムホログラムをガラスにラミネートしてある。図13の3点はDCGホログラムの背面に模様を描いたパネルや布を重ねている。画像の透明な部分からは背後の画像が透けて見え,実体のパネルや布の面と,その奥に見えるホログラムの虚像とのオーバーラップが,観る人に不思議な視覚体験を演出する。(a)の被写体は牧草,(b)と(c)は筆のタッチのシャドウグラムである。また,(b)は単色ではなくゴールドとブルーの2枚のホログラムをはり合わせて2色のホログラムに仕上げている。これらのDCG作品は,ローガン(アメリカ,ユタ州,ソルトレイクシティーから100数十キロの都市)のラボで制作した。初期のDCGは国内(凸版印刷㈱,ホロメディア㈱)で制作できたが,1990年代以降は国内では不可能となり,以降DCGの制作の場はアメリカのローガンに移った。
 オープンした展覧会の後に,この年にはHODICの海外例会がタイで開催されることになっていたため,私は台北からバンコクに向かった。ハードスケジュールがたたったのか,風邪をひき,バンコクでは美味しく辛いタイ料理がのどを通らず,残念な思いをした。その年の暮れには出品したすべての作品も無事台北から戻り,たくさんのことがあった2006年も無事暮れた。 <次ページへ続く>

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