生体試料の高分解能・高信頼度イメージング法を開発理化学研究所,慶應義塾大学
CXDI法は,μmからサブμm(1,000分の1~10,000分の1mm)サイズの結晶化が極めて困難な試料の内部構造を,電子顕微鏡のように試料を薄片にスライスすることなく,光学顕微鏡より高い分解能で観察可能なイメージング手法であるが,X線回折能の低い生体試料からは弱いシグナルしか得ることができず,分解能をさらに向上させることができなかったところ,同グループは,生体試料と同時にX線回折能の高い多数の金粒子をイメージングするという新たな測定・解析法を考案した。両者から回折されたX線が干渉することで,生体試料の回折シグナルは測定できるレベルに押し上げられ,また,金粒子の比較的高いシグナルの回折パターンから得られた金粒子の配置の情報を結像アルゴリズムに与えることで,より信頼度の高い試料像を再生する。理研のXFEL施設「SACLA」での実験に基づいた計算機実験の結果,本手法によって分解能が従来よりも2倍以上向上し,試料周縁部の低コントラスト構造も明瞭に観察できることを示した。
今後,本手法が実用化されれば,細胞や機能性材料がより精緻に可視化され,機能原理の解明に貢献すると期待されている。