AI の重要課題である強化学習をレーザーカオスを用いて超高速に実現情報通信研究機構,埼玉大学,慶應義塾大学 研究グループ
同グループは,光の高速性に着目し,半導体レーザーにおいて生じるカオス現象が生み出す乱雑な信号と,独自に開発した強化学習方式を組み合わせることで,「当たり確率の未知な2台のスロットマシンから当たり確率の高い台を選ぶ問題」(2本腕バンディット問題)を,光の極限性能を生かし,高速に,物理的に解決をすることに成功した。レーザーカオス現象の超高速性により,情報が入力されてから出力されるまでの時間(レイテンシ)が1ns という高速な意思決定が確認され,また,仮想的に生成した高速な擬似乱数(カラーノイズ)に比べても優れた性能を示すことが確認された。
今後,より高速なコンピューティングのため計算資源を瞬時に調停するアービトレーションや無線通信における周波数の瞬時な割当てなど,AI やIoTの基盤技術として大きく貢献することが期待される。