植物や鉱物だけからなる紫外線カット透湿フィルムを開発産業技術総合研究所(産総研),森林研究・整備機構 研究グループ
産総研は,粘土を主成分とする膜材料「クレースト®」を開発し,その実用化に取り組んでいる。今回,リグニンをクレーストの成分として加えて, 透明な紫外線カット透湿フィルム,リグノクレーストを作製した。リグノクレーストは,従来のクレースト®には無い高い紫外線吸収性(約99%カット)と高い透湿性(1,100 g/m2・day)を持つ。これは従来の農業用フィルムと同等の透湿性で,紫外線吸収性は従来の農業用紫外線カットフィルム以上である。高い紫外線吸収性はリグニンの発色団構造に,高い透湿性はナノメートルレベルで積層したリグニンと粘土が作る空隙にそれぞれ由来する。
今回開発したリグノクレーストについて,さらに広範な性能評価試験を行うと同時に,農業用被覆材などの用途を産業界と検討し,早期の製品化を目指した研究開発 を行う。また,同時酵素糖化粉砕法の汎用化・コストダウンを通じ,原料のリグニンの供給体制を確立する。