光コヒーレント伝送方式のための新しい受信方式を開発情報通信研究機構 研究グループ
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情報通信研究機構の研究グループは,独自に開発した高速集積型受光素子と位相回復信号処理アルゴリズムを用いた,新たな光コヒーレント受信方式の実証実験に成功したと発表した。現在,長距離系光ファイバー通信網で利用されている光コヒーレント受信機には,高精度な光源と複雑で精密な光回路が必要であるが,今回,この複雑な光回路を用いるかわりに,受光素子を2次元に配置した集積型受光デバイスを用い,散乱させた光信号を画像的に受信し,位相回復信号処理を施すことで,光コヒーレント受信に成功した。これにより,光回路を大幅にシンプルにすることができた。これまで,位相回復技術は,天文などの物理学の分野で知られていたが,今回,光通信に特化したアルゴリズムを開発し,初めて,実際の大容量通信実験に成功した。
今後は,16QAMといった,より複雑な波形をもつ光信号の復調や,より効率的な散乱体の設計など,信号処理技術・デバイス技術の両面から,位相回復型コヒーレント受信方式の実用性の向上に取り組んでいく。今回開発したコヒーレント受信方式は,光ファイバー通信のみならず,高精度な光測距や大容量の空間光無線通信など,超小型化が求められる身近な光ICTシステムへの多様な応用も期待される。