溶剤を用いずに剥がせる塗料材の作製技術を開発産業技術総合研究所,(株)TAT 研究グループ
今回,アクリル樹脂やウレタン樹脂などに液晶成分を均一に混合した新たな樹脂を開発した。この樹脂に,特定の波長の近紫外光を照射すると,均一に混合されていた液晶成分の凝集構造が変化し,樹脂から相分離することを見出した。この技術を塗料材に適用すると,近紫外光による液晶成分の相分離により,塗料材の密着性が大きく低下した。また,ジェルネイルへ適用できるように,硬さの向上と無色化も実現した。
ジェルネイルは,液状の光重合性組成物を爪に塗布し,光照射により重合・硬化させて塗膜を形成して,爪に強固に密着させる。そのため,2~3週間は装飾された状態を維持できるが,剥がす際には,有機溶剤を大量に使用する必要があり,ジェルネイル利用者とネイリストの健康と安全に対する影響が懸念されていた。そのため有機溶剤を極力使用せずにジェルネイルを除去できる技術の開発が望まれており,これまでに酸性水溶液やアルカリ性水溶液などを用いる方法が提案されているが,現在のところ実用にはいたっていない。
今回開発した技術をジェルネイルへ応用すると,有機溶剤を大量に使用することなく簡便に除去ができるようになり,ジェルネイル利用者とネイリストの健康と安全性の向上が期待される。