吹きガラスの原理でガラス製微小レンズを開発理化学研究所,アイサン・ユスフ大学 研究グループ
今回,同グループは,①ガラス基板上に浅い微小なくぼみを形成する,②カバーガラスを重ねて仮接合し閉じた微細空洞を作る,③吹きガラスの原理を利用して,周囲を真空引きしながら加熱することで空洞中の空気を膨張させる,④ゆっくり冷却するという手順により,設計した寸法通りにガラス微小ドーム構造を形成できることを実証した。今回の試験では,厚さ100~25 μmのガラス板を用いて,直径30 μm ~1 mmのさまざまな種類の微小ドーム構造を作製し,そのまま使えば凹レンズ(縮小レンズ),充填液を導入すれば凸レンズ(拡大レンズ)の機能をもつことを示した。また,高温条件下や酸・有機溶媒中でもレンズ機能は失われず,ガラスの性質が保たれることを確認した。
これにより,次世代産業で重要となる分析用光学素子,マイクロ化学反応や医療向け細胞分離分析検査デバイス,基板組み込み型カメラの高精度マイクロレンズなどへの応用が期待される。