ひとふりで立体像を獲得するレーザー顕微鏡法を開発東北大学,大阪大学
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レーザー走査型蛍光顕微鏡法は,生体の細胞や組織などを生きたまま3次元的に観察できることから生命科学研究や医療診断では必須の観察ツールである。しかし,3次元像を得るには試料位置を変えながらレーザー走査を何度も繰り返す必要があるため,リアルタイム性に欠けるうえに,試料の損傷や光退色といった多くの課題があった。東北大学,大阪大学の研究グループは,細長い「針」状の分布をもつレーザー光を1回2次元走査するだけで,試料の3次元情報を一挙に取得する新たなレーザー顕微鏡を開発したと発表した。
今回開発したイメージング法では,針状の光で試料を照明することに加えて,試料から発する光に対して独自の波面制御を施すことで,観察対象の複数の深さ位置の情報を同時に検出する新しい原理を提案した。構築したシステムにより,従来のレーザー顕微鏡では困難であったリアルタイムかつビデオレートでの高速な3次元可視化性能を実証した。本技術は,生命・医療分野に加えて材料科学や製造現場などへの応用展開も見込まれ,多くの学術・産業分野で必要となる光イメージング技術の大幅な性能向上が期待される。