細胞の老化を高感度に可視化する画期的なラマン顕微画像化法を開発慶應義塾大学，愛知医科大学，筑波大学
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慶應義塾大学などのグループは、ラマン散乱を用いて、細胞の老化を標識物質なしで可視化する顕微観察方法を共同開発した。
細胞老化は、筋肉量減少や骨密度低下などの老化現象の根底にあると考えられる。細胞の老化は幹細胞の枯渇を引き起こし、老化現象の元となる。また近年、老化細胞が放出する物質が癌などの加齢性疾患へ関与することが分かってきた。そのため、老化細胞を標識物質なしに可視化したり程度を評価することなどが、老化の仕組みの解明・関連疾患の基礎医学研究や、老化を画像評価するための診断法開発の基盤技術として重要である。今回の可視化では、老化細胞の核内（核小体）に特徴的な変性・凝集タンパク質の構造に注目した。アミロイドとも呼ばれるこの凝集体は、βシートと呼ばれる特徴的な折りたたみ構造が集まることで知られる。
今回のラマン散乱を用いた顕微画像化法により、老化細胞に含まれる小さなアミロイド凝集体中のβシートの直接可視化に成功した。これにより細胞の老化を検出し、程度を評価できる高感度な方法を開発した。この技術は同様にアミロイドに基づいた生理・病態の研究や医療開発への幅広い寄与が期待される。
