宇宙X線観測衛星 XRISM : 特異なX線連星から吹き出すプラズマの風とブラックホールの運動を捉える立教大学
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宇宙の多くの恒星は「連星」として生まれ、互いの重力や物質の影響を受けながら進化する。中でも「はくちょう座X-3」は、大質量星の一種であるウォルフ・ライエ星とブラックホール候補天体からなる特異な連星系である。この連星系では、ウォルフ・ライエ星が放出する膨大なガスがブラックホール候補天体に吸い寄せられる際、強烈なX線が放射、光電離プラズマが形成される。
立教大学のグループは、X線分光撮像衛星XRISM(クリズム)を用いてこの連星系を観測し、ウォルフ・ライエ星から吹き出すガス(星風)や、ブラックホール候補天体に落ち込むガスの、詳細な動きを捉えることに成功した。この連星は将来的にブラックホール同士の連星系となり、重力波を放つ天体になると予想される。XRISMのデータ解析により、この天体の進化過程の理解がさらに進むことが期待される。