新しいものを持ってきてお客さんに知らしめるというのが,私の仕事オーテックス(株) 福井 博
ベンチャーが生き残るには,マーケットを見る目が必要
福井:早く蔵を建てようとして,始めるとなかなか難しい業界だと思います。自分の殻でやっているうちは,何とか生きていられる業界ですが,非常にニッチな業界です。だから,マーケットを見る目が必要ではないでしょうか。新しいものをつくるとします。その技術が一体どのくらいの寿命があるかをまず見ます。幸いなことに,今までは,短く見積もっていてそれ以上に長く持っているものが多いです。それが決め手の一つではないですか。マーケットの要求がどれだけその技術に対してあるのか,そして,あと何年食べていけるか,です。日本のベンチャーはあまり知りませんが,海外のベンチャーの方はその辺がしっかりしています。 海外のベンチャーは,本当にガレージでやっている所がたくさんありました。今でもまだそういう所は随分あります。フェムト秒レーザーをやっている所だって,ガレージとはいわないけれども,自分の部屋の一室でやっています。だから,崖っぷちでやっている所が割と多いです。アメリカ人なんて,楽天的な割に,意外と細かいところは細かいです。
あと,ベンチャーをやっている連中は割と「絶対成功する」と思っています。そこはすごいところだなと思います。成功してきた連中ばかりを見ているからな。でも,失敗した連中もそんな感じです。「脇目も振らず」浮気もしません。それか,「売れないと食べていけないんだ」そういうところにいるわけです。アメリカのベンチャーキャピタルは,うるさいではないですか。例えば,何年でどのくらいリターンをしなければいけないというのが決まっていて,そのリターンがなかったら,そこでもう終わりですから。 <次ページへ続く>
福井 博(ふくい・ひろし)
東京都出身。1987年にオーテックス株式会社設立。
オーテックス株式会社はレーザ機器や電子機器などの輸入・販売を行っている。
1990年にテクニカルセンター開設し,2002年UV硬化エポキシ材料特許取得。
2008年には可視光硬化エポキシ材料発売するなど,独自の商品の開発・販売も行っている。
URL http://www.autex-inc.co.jp/index.html