新しいものを持ってきてお客さんに知らしめるというのが,私の仕事オーテックス(株) 福井 博
若い方には,展示会にどんどん行ってほしい
聞き手:商社の理想の形とは何かについてお聞かせください。福井:私の言いたいのは,基本的に商品を集約できるのは展示会だと思うのです。なぜ展示会にお客さんが来てくれないのか,それが一番大きな疑問です。 日本の展示会を見ていると,「あそこは,またミラーマウントが出ている。こちらも,ミラーマウントが出ている」と,それだけなのです。出展する後発メーカーというのは,安いか良いか,何か特徴がないと,ベンチャーのスピリットがないではないですか。展示会というのは,それが狙い目です。われわれが新しいメーカーのミラーを持っていっても,「あそこに,またミラーがある」で済ませてしまいます。残念ながら鋭さがないですね。 それを一番やっているのが商社です。海外の展示会に行って,自分たちがこれから売りたいもの,これから商売になるものを目の色を変えて探すわけです。われわれには,フォトニクスウェストのような大きな展示会は3日間では見足りません。一つずつ,全部をまわろうと思ったら,5日間ぐらい必要です。通り一遍では絶対に見られないんです。だから,展示会というものはもう少しきちんと見ていただきたいです。
そして,とくに民間の企業には,もっと若い人を出しなさい,と言いたいです。若い方たちに「おまえら,展示会に行って何か新しいものを見つけてこい」と,民間のメーカーが出さないと,私は今後,若い人が育たないと思います。 自分が興味を持って仕事にしている分野のものが集まっている展示会に行くのは,いい刺激になると思います。例えばレーザーだって,同じレーザーがいろんな所にあれば,「おまえさんの特徴は何?」と聞くと,全てのメーカーがそれぞれ特徴を言うわけです。その中でこれはいい技術であるとか,これは論理的に間違っている,というような議論もあるわけです。それを見抜く力も養わなければいけません。だから,全般的に,展示会にもう少し頭のやわらかい若い方が来て物を見るべきではないかなと思います。逆に,商社でそこを尋ねうまく説明できない所というのは,あまり付き合っても駄目だと思いますね。
レーザー製品は取っ付きにくい商品だと思いますが,最近では,カタログの他,インターネットで捜すことは容易です。しかし,たとえば,グリーンDPSSレーザー出力50mWということで探すと数十社も検索できます。この中から選択するのはなかなかではないかと思います。
販売者側と購買者側がもっと密に話し合える場や,機会が増えることがレーザー関連を取り扱っている商社にとって必要なことだと思っています。
福井 博(ふくい・ひろし)
東京都出身。1987年にオーテックス株式会社設立。
オーテックス株式会社はレーザ機器や電子機器などの輸入・販売を行っている。
1990年にテクニカルセンター開設し,2002年UV硬化エポキシ材料特許取得。
2008年には可視光硬化エポキシ材料発売するなど,独自の商品の開発・販売も行っている。
URL http://www.autex-inc.co.jp/index.html