【重要】技術情報誌『O plus E』休刊のお知らせ

光学は研究する余地はまだあるのでそれを見つけてどのようにやるかワシントン大学名誉教授 アルバート S 小林

工学からはじめて,テーマをもらうことでいろいろなことをやった

小林:小西六では,カメラや工具の設計をし最後に現場の係長になり工員の面倒を見ることになりました。東大を出ていれば何でも知っていると思われるのです。私はまだ21か22歳で,みんな私より倍ぐらい年を取っていましたから往生してしまい小西六をやめてワシントン大学に入りました。
 私は日本人として初めてのワシントン大学で大学院のフェローシップをもらいました。アメリカンスクールにいたときに非常に親切にしてくださったご婦人の先生が,ワシントン大学にすごいレコメンデーションを書いていただいたので,入れたのです。もちろんお金はないですから,ワシントン大学で修士を取って,その後にイリノイ工科大学へ移って,博士を取ることになったとき,修士のときの指導の先生に話したら,突然ワシントン大学から帰ってきてくれないかと言われて帰ってきたのです。
 ワシントン大学に戻った年に同僚からフラクチャーメカニクスをやったらどうかと言われて研究をはじめました。同時にボーイングの顧問を始めて面白い問題をたくさん扱いました。ミサイルとか,アポロのタンクとか学生に研究テーマとして与えてその結果をボーイングに報告し,学生はそれでPh.Dを取りました。それから,海軍にはずいぶんお世話になり二十何年間か破壊関係の研究の出費をしてもらいました。 <次ページへ続く>
ALBERT S. KOBAYASHI (あるばーと・さとし・こばやし)

ALBERT S. KOBAYASHI (あるばーと・さとし・こばやし)

1924年12月9日 シカゴ生まれ 1947年9月 東京大学工学部卒業 1947-1950年 小西六株式会社にて生産設計技師 1952年3月 Washington大学 工学部機械工学科修士 1953-1955年 Illinois Tool Works(Chicago)にて設計技術者(高度歯車解析) 1955-1958年 Illinois工科大学Armor Research Foundationの研究技術者(実験応力解析) 1958年6月 Illinois工科大学から博士号 1958年8月 Washington大学工学部機械工学科助教授 1958-1976年 Boeing Aerospace Company顧問 1961年9月 Washington大学工学部機械工学科準教授 1962-1982年 Mathematical Sciences Northwest顧問(構造解析と破壊力学) 1965年9月 Washington大学工学部機械工学科教授 1974-1978年 AFRPL(米空軍ロケット推進研究所)顧問 1984年11月 U.N. Development Program国連開発計画局(UNDP)顧問 1986年1月-1986年6月 Office of Naval Research(米海軍研究事務所ONR)顧問 1988年-1995年 構造力学のBoeing Pennell Professor 1989-1990年 SEMの会長 1997年7月 Washington大学工学部機械工学科名誉教授
●研究分野
破壊力学,実験応力解析,有限要素解析
●主な活動・受賞歴等
National Academy of Engineering (技術アカデミーNAE)会員 American Society of Mechanical Engineers(米国機械学会ASME)フェロー Society of Experimental Mechanics(実験力学会,以前はSESA,現在はSEM)生涯名誉会員,1989会長 American Academy of Mechanics,Sigma Xi and Tau Beta Pi会員 1973年 F. G. Tatnall 賞 1981年 B. J. Lazan 賞 1983年 R. E. Peterson賞 1983年 William M. Murray Lecture Medal 1991年 JSMEから第一回の材料力学部門賞 Burington Resources Foundation教授功績賞 1995年 M. M. Frocht 賞 1995年 ASEE General Electric Senior研究者賞 1997年 勲三等旭日中綬章 1997年 日系アメリカUW Alumni ClubからAlumni功労賞 2006年 ワシントン大学機械工学科の栄誉殿堂入り 2007年 ASME Daniel Drucker Medal 2010年 ASME Nadai Medal 2013年 ワシントン大学工学部 Diamond Award

私の発言 新着もっと見る

色覚の研究,私の場合。
色覚の研究,私の場合。...(9/26) 立命館大学,チュラロンコーン大学 池田 光男
テクノロジーで古い業界の生産性を上げ,さらにその先へ
テクノロジーで古い業界の生産性を上げ,さらにその先へ...(8/7) 株式会社スマテン 代表取締役社長 都築 啓一

本誌にて好評連載中

一枚の写真もっと見る