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安いものを活用してどのように性能を向上させるかが,腕の見せ所三明電子産業株式会社 代表取締役社長 久保田 和俊

自分でやらなくなると感覚が狂う

聞き手:お仕事で壁にぶつかったご経験と,それをどう乗り越えられたかをお聞かせください。

久保田:先ほど申し上げた7年間,三明テクニカに行った時でしょうか。
 グループの各社から選抜して新しい会社を立ち上げました。板金,電気は三明電子産業から,営業や事務的な部門は三明から来ていました。そうすると異なる会社同士のルールの違いといった問題が出てきて,伝票1枚がうまく回らないこともありました。
 あと,はじめは満足な品質の製品ができませんでした。これはプロと呼べる人材が少なかったことがありますが,非常に苦労しました。最初の半年間は,私の帰りは大体2時か3時でした。7年間の中でその日のうちに帰ることはほとんどありませんでした。仕事の受注のために出張が週3回ぐらいありましたが,23時だろうが真夜中だろうが必ず会社に帰り,状況を確認していました。その時が一番,自分としてはもう死ぬんじゃないかなって思ったぐらい大変でした。
 ただ私としては,ここの工場の責任者で,社員と家族を食べさせて行く,それを自分がやらなければならないという使命がありました。その中で自分でも現場作業をやり,社員と一緒に物を作ったり,仕事を取りに行ったりと,社員と一緒の気持ちで,みんなに助けてもらいながらやっていったのがよかったのかなと思っています。
 ですから,今でもあえて自分で考えて,営業も見積もりも図面も描いています。
 見積もりも加工図も,自分でやらなくなると感覚が狂ってくるのです。だから時々作業をしていないと,指摘をすることができなくなるのであえてやっています。 <次ページへ続く>
久保田和俊(くぼた・かずとし)

久保田和俊(くぼた・かずとし)

1956年 静岡県出身
1977年 東京農業大学 農学部 農業工業科卒業
1987年 株式会社三明に入社
2007年 三明電子産業株式会社 代表取締役社長に就任
三明電子産業株式会社は1970年創業。世界ナンバーワンといわれる「全自動いか釣り機」や,人の動きを実現した「paraMotion」など,サーボ制御技術,モーション制御技術を核に,サーボドライブ,精密ロボットメカ,ナノ微細加工等の自社製品と,産業用生産設備の自動化システムの設計・開発・生産などのOEMを手掛けている。
URL http://www.sanmei-ele.co.jp/

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