安いものを活用してどのように性能を向上させるかが,腕の見せ所三明電子産業株式会社 代表取締役社長 久保田 和俊
今の人たちは待ちが多い
聞き手:メーカーという立場から見て,日本の企業や研究機関が世界に通用するためには,どんなことが必要でしょうか?久保田:まずは基本的な人間の行動だと思います。先ほども言いましたあいさつのようなことです。今は知識があっても,そういった基本的なことができていない人が多いように思います。
あと,私はあまり研究機関とお付き合いがないのですが,日本は,国策として専門的に研究をする機関を作ることが少ないという気持ち,思いがあります。
それと,われわれの勉強不足もあるのですが,研究機関が積極的なPRをしていないのも気になります。どのような研究をしているかということがなかなか中小企業には分からないことも多く,研究機関と一緒に何をしたらいいのが分からないということがあります。
弊社では,名工大で以前学長を務められた松井先生に技術顧問をお願いしています。松井先生がまだ研究者だった時に,弊社のドライバー開発に協力していただいたことがありまして,そのご縁で。松井先生の人脈をいかしていろいろ教えていただいています。
また,今の人たちは待ちが多いと思います。だから自分たちで考えて,もっと積極的にとすごく感じています。特に設計者には,こういうことをやりたいとか,こういうものを作ってみたいといった意思表示があまりないので,そこがちょっと寂しいなと思います。本当に少なくなりました。
久保田和俊(くぼた・かずとし)
1956年 静岡県出身1977年 東京農業大学 農学部 農業工業科卒業
1987年 株式会社三明に入社
2007年 三明電子産業株式会社 代表取締役社長に就任
三明電子産業株式会社は1970年創業。世界ナンバーワンといわれる「全自動いか釣り機」や,人の動きを実現した「paraMotion」など,サーボ制御技術,モーション制御技術を核に,サーボドライブ,精密ロボットメカ,ナノ微細加工等の自社製品と,産業用生産設備の自動化システムの設計・開発・生産などのOEMを手掛けている。
URL http://www.sanmei-ele.co.jp/