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研究者として成功するためには新しい発明と併せて大いなる努力が必要KLA-Tencor Corp CTO Dr. Ben Tsai

日本の半導体メーカーでは新しい技術を作り上げるための投資がされていない

聞き手:今年(2016年)から,LAM Researchと一緒になると報道されていますが,これはアプライド・マテリアル(AMAT)とTELが一緒になるということに対する対抗手段として行われた結果でしょうか?

Ben:半導体業界では合併した事例は大変多くあります。KLAもTencorをはじめとして多くの会社と一緒になりました。装置メーカー以外でも,SandiskとWestern Digital, Spansionと Cypressとかがあります。合併が行われる理由のひとつに最近の低金利もあると思います。利息が大変低いですし,お金を借りることは容易な状況です。ですので,利益を上げそうな会社を,借金をしてでも買収することは,大変良い投資収益を上げます。
 東京での暮らしを考えてみてください。年5%の利益保障の賃貸しアパートを購入するとして,利息1%でお金を借りることができれば,その差分4%が利益となります。今,銀行に貯金をしても利息はほとんどゼロですよね。ここ数年の低金利な状況では,利益を上げそうな所に投資することが,どんな分野でも有効です。

聞き手:AMATとTELは, 一緒になることができませんでした。

Ben:私たちの場合は,良好な状況にあると思います。例えば会社規模に関してですが,AMATは,業界トップですし,二社を足した場合を考えると,我々の方が小さな規模です。AMATとTELは, 一緒になることは大きすぎる,ということで業界関係者は避けたかったのでないでしょうか?
 また製品での重複に関しても,我々の場合は検査装置とプロセス装置なので,ほとんどないですが,AMATとTELの場合は,例えばCVD装置など重複があるのも問題であったと思います。

聞き手:現在,日本の半導体メーカーの元気がないと言われています。

Ben:はい,それに関しては大変心配しています。これから先,海外の大きな会社に日本の企業が吸収されてしまうのではないかと危惧しています。Samsung社(韓国)等と比較しても競争力がないと言えます。
 日本の半導体メーカーでは新しい技術を作り上げるための投資がされていないと思います。十分な投資なくして,新しい技術面での成功はないと思います。日本の半導体メーカーでは,投資に関してだけでなく,若い従業員の採用も少なくなっているのではないでしょうか。
 大変難しい問題ですが,日本の会社はROI(費用対効果)に関して,うまいシナリオが作れず悪循環に陥っている気がします。

聞き手:KLA-Tencor社のCTOとして長年,働いておいでですが,露光装置メーカーの三社の違いなどがありましたらお教えください。

Ben:ASML社はとても決断力のあり,大きな資本を投資する会社だと思います。従業員を採用する方針として,新卒に限定するということをすることなく,中途を大いに採用しているように感じます。もし2000人が必要なら,2000人すべてを中途採用とするのでは,と思います。ニコンやキヤノンはそんなことはしないのではないでしょうか。

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Dr.Ben Tsai( ベン・ツァイ)

Dr.Ben Tsai( ベン・ツァイ)

国立台湾大学から電気工学の学士号を受け,イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校で電気工学の修士号と博士号を取得。 1984年KLA-Tencor社の前身となるKLA Instruments社に入社。1994年CTO就任。2004年から二年間東京エレクトロンの技術担当の副社長を務め,2006年KLA-Tencor社に復帰。
●KLA-Tencor 社について
本社はアメリカ合衆国カリフォルニア州。半導体設備産業におけるリーディング・カンパニーであったKLA社とTencor社の合併により1997年5月に誕生した。以来,半導体検査・計測装置メーカーの枠を超え,ソフトウェアの開発・充実や先端企業の買収などにより,歩留まり管理=イールド・マネジメント・ソリューションの専門技術集団として,業界での地位を確立している。アメリカ,ヨーロッパ,日本及びアジア太平洋地域にサポート拠点を展開し,売り上げの15?20%をR&Dに費やす研究開発型の企業である。URL:http://www.kla-tencor.com/

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