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ホログラフィーは私にとって学校のようなものです。石川光学造形研究所 石川 洵

後進の育成

 そのような考えもあり,一時期多摩美術大学の非常勤講師をやらせていただいたことがあります。
 そのきっかけというのが,多摩美大にホログラフィーの指導を熱心に続けておられる勝間ひでとし先生という方がいて,先生のところによく遊びに行っていたのです。そうしたある日,勝間先生から「実習をやる教員の数が足りないから手伝ってくれ」とお誘いを受けたのです。私としては,願ったり叶ったりでしたから2つ返事でお受けし,非常勤講師として多摩美大でホログラフィーの作製を教えることになったのです。
 また,多摩美大では映像コースの檜山先生や卒業生の村穂さんたちと一緒に,音声まで入れたホログラフィーアニメーションや,実写のホログラフィー映画の作製などを共同で行い大きな成果を上げました。

立体映像表示装置の開発

 これまでホログラフィーを中心として仕事をやってきたわけですが,現在メインでやっている仕事は展示用の映像装置や立体映像表示装置の開発です。
 実は,これらの表示装置はホログラフィーの面白さはどこにあるのかということを分析して開発しており,これまでやってきたホログラフィーとまったく関係のない仕事というわけではありません。
 例えば,テーブルタイプの空間映像ディスプレイである「Mini Live Theater」にしても「水晶球ディスプレイ」にしても,先ほどお話したSF映画に出てくるような立体映像をホログラフィーという手段にとらわれずに投影できないかと考えて開発したものです(図1~図3)。
 ホログラフィーの時は,何から何まで自分でやる必要がありましたが,電子画像ベースの立体映像表示装置では,液晶などのデバイスサプライヤーがたくさんありますから,それらの企業の優秀な製品を利用して仕事ができる点では非常に楽になったといえます。
 これらの装置は,博物館やテーマパークなどの,展示物のなかに映像を取り込んでいくような施設で需要があり,開発したものをご覧になった方もいるかもしれません。

図1 「ミニライブシアター」テーブル上に動画空間映像が立ち上がって表示される展示映像装置

図2 「水晶球ディスプレイ」ムクの透明球体の中に動画映像が表示される展示映像装置

図3 「Chatty」映像装置を組み込んだ「話すマネキン」

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石川 洵

石川 洵(いしかわ じゅん)氏 ご経歴

1946年生まれ。69年,早稲田大学第一商学部卒業。同年,日産自動車(株)入社。82年,石川光学造形研究所設立。88年~92年,多摩芸術学園非常勤講師。89年,石川光学造形研究所を有限会社に改組 代表取締役に就任,そして現在にいたる。
日本ディスプレイデザイン協会,日本バーチャルリアリティ学会,日本映画テレビ技術協会などに所属。

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OplusE 2005年5月号(第306号)

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