セミナーレポート

ロボットに使える最新画像処理技術 ~物体認識のための画像局所特微量~中部大学 藤吉 弘亘

本記事は、画像センシング展2010にて開催された特別招待講演を記事化したものになります。

人の特徴を捉える

 ここでもう一度,「人の特徴」を考えてみたいと思います。人の形状特徴として頭のところから肩にかけた「Ω」型や,下半身の連続的なエッジ,頭・肩・胴体それぞれの左右対称性などが挙げられます。
 残念ながら第2世代のHOG特徴量は,局所領域であるセルにおいて単一のHOG特徴量だけで識別しているので,こういった人の形状特徴を捉えきれていません。そこで自動的に対称性のある領域を捉えたり,連続性を持つ領域を捉えたりすることが,第3世代のアプローチとなります。
図8 人検出と車両検出におけるJoint HOGの効果。DET(Detection Error Tradeoff)による評価。

図8 人検出と車両検出におけるJoint HOGの効果。DET(Detection Error Tradeoff)による評価。

 われわれの研究室では,第3世代のアプローチとして「Joint HOG」という方法を提案しています[図7(b)]。Joint HOGに検出ウィンドウの中の2つの領域を1つの弱識別器に入力することによって,2つの領域のHOG特徴量の共起性を同時に捉えるというアプローチです。
 識別器の構築には,2段階のアダブーストによりJoint HOG特徴量を生成し,学習します。まず検出ウィンドウの画像をセルに区切り,あるセルとあるセルからHOG特徴量を算出します。例えばHOG特徴量の場合,1 つのセルから9方向の特徴量が算出されるので,9次元の特徴量となります。2つのセルから算出したそれぞれ9つの特徴量を使ってアダブーストにより弱識別器を構築します。
図8 人検出と車両検出におけるJoint HOGの効果。DET(Detection Error Tradeoff)による評価。

図8 人検出と車両検出におけるJoint HOGの効果。DET(Detection Error Tradeoff)による評価。

 次に,セルとセルを組み合わせて,アダブーストで強識別器を作ります。例えば72個のセルから2つのセルを持ってくるというコンビネーション分の識別器をあらかじめ作っておくことになります。
 その後,2段階目のアダブーストを使って,1段階目の強識別器を特徴として本当によい組み合わせを評価して,最終強識別器を構築します。これにより,各弱識別器が2つの領域の特徴を捉えることになります。

<次ページへ続く>

中部大学 藤吉 弘亘

1997年,中部大学 大学院博士後期課程修了。
1997年~2000年,米カーネギーメロン大学ロボット工学研究所Postdoctoral Fellow。
2000年より中部大学講師。
2004年,同大准教授。2006年,米カーネギーメロン大学ロボット工学研究所客員研究員。

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