セミナーレポート
誰にでもわかる「安全・安心のための画像センシング」三菱電機(株) 鷲見 和彦
本記事は、画像センシング展2010にて開催された特別招待講演を記事化したものになります。
監視効率を上げる解析技術
最後に,映像解析の技術を紹介します。監視カメラを導入しても,監視場所の増加によって台数が増えたり,記録する容量が増えたり管理が大変になってしまいます。また記録はできたとしても,人も時間も増やさずに確認するのは困難で,ほとんどの場合が「撮るだけ」になってしまいます。そこで,注意して見るべき映像があれば選択的に表示したり,人が見ていなくても機械だけでできるサービスを提供したり,あるいは監視映像の検索機能や分析能力の向上といったニーズが出てきます。先ほど話をした顔認識をうまく利用して,同一シーン中の同一人物の一番見やすい顔を抽出してサムネイル表示をし,映像中のどの場所に出てきたか指定して探し出すといった機能が開発されています。例えば,出入り口にずっといる人,通過した人,徘徊している人などをリアルタイムで抽出することができます。また時間帯や出現位置,おかしな動きなどを検索キーにして,ある特定の動きをした人の検索や行動パターンの検索ができるようになってきました。これらの技術は,もうすでにいろいろな形で製品に組み込まれています。
地味な作業に限定すればコンピューターの能力はすでに人間の能力を超えていますが,応用力・総合力では人にまったくかないません。利便性・安全性を高めるような使い方を,これからも皆さんと一緒に探ってまいりたいと思います。
三菱電機(株) 鷲見 和彦
1982年,京都大学工学部電気電子工学科卒業。 84年,京都大学大学院工学研究科電気工学専攻修士修了。84年,三菱電機株式会社生産技術研究所入社。 89?90年,メリーランド大学客員研究員。90年,三菱電機株式会社産業システム研究所。97年,京都大学工学博士。2002年~,三菱電機株式会社先端技術総合研究所,そして現在に至る。03?06年,京都大学大学院情報学研究科研究員(COE)・客員教授