セミナーレポート
誰にでも分かる,サービス現場でのユーザー特性の画像センシング技術 ~ユーザーの体形,運動,行動センシング~産業技術総合研究所 持丸 正明
本記事は、画像センシング展2011にて開催された特別招待講演を記事化したものになります。
センシング-サービスのサイクル
われわれは今,「生活」を次の研究のステップに据えています。デジタルヒューマンに関する研究は,ほかの大学や研究所でも進められています。多くの研究がどちらかというとミクロ,つまり,臓器や細胞の研究に向かうのに対して,われわれはマクロな方向へ向かっています。行動や生活を何とかモデル化できないかというのが,われわれの次のチャレンジとなっています。産総研の研究所やセンターのほとんどが材料や遺伝子などを研究対象としているのに対して,われわれの研究所はインテグレーション型の研究センターといわれています。製品やサービスを通じて人間の状態をセンシングして,そのデータをネットワークやクラウド上にため込みます。そして,そのデータに基づいてデジタルヒューマンモデルを作ります。それを使って,もっと良い製品展開につなげたり,モデルそのものをシステムに組み込んで新しいサービスを提供しながら,持続的に人間のデータをさらに集めるというサイクルを考えています。
われわれは実験室の中だけでデータを取るのではなく,このサイクルを実社会の中に開いてデータを取っていくというアプローチを採っています。そうした方法によって,膨大な量のデータを取ることに成功しています。つまり,実際の社会の中にデジタルヒューマンを埋め込んで,持続的にヒューマンモデルがアップデートされていくような仕組みを考えているわけです。
<次ページへ続く>
産業技術総合研究所 持丸 正明