セミナーレポート
生活・社会・産業の各分野で進む実用化 プロジェクターの高速化などで,発展する3D画像センシング技術オムロン(株) 諏訪 正樹
本記事は、画像センシング展2013にて開催された特別招待講演を記事化したものになります。
実用化が進む3D画像センシング技術
カメラから取り込まれた画像データを利用する3D画像センシングの実用化が進んでいます。オムロンが開発したシルエットビジョンセンサーは2001年から全国の道路に設置され,縦ステレオカメラを使い3次元形状で車両を認識,車の速度や通行量,大きさなどの統計をとっています。その他にも,前方の障害物を立体的に認識する運転支援システム,バラ置き・バラ積みのワークを認識し,ロボットで把持するロボットピッキングセンサー,アクティブ三角測量方式による非接触3Dスキャナー(デジタイザ),複合アクティブ三角測量方式による化粧・医療・整形外科用の人体計測,ゲーム用インターフェースなどさまざまな分野で使われています。 画像は物体に入射する光源からの光が,物体の幾何形状と反射特性(材質)の相互作用による反射光としてカメラに入射することで,カメラに記録されます。3D情報である幾何形状は画像センシングにおける貴重な情報源です(図1)。3D情報を得る手がかりについて,人間の視覚機能から探ってみると,眼球の調節や両眼視差などの生理的な側面と遠近法や運動視差など経験的な側面の2つがあります。この2つに関連するものを光学的・信号処理的に再現するのが3D画像センシングです。3D画像センシングは光が入ってくる経路の違いから,光線の受光方位角を手がかりにする三角測量方式と光波の性質や集光を利用する同軸測量方式の2つに分けられます(図2)。同軸測量でよく知られているのが光の飛ぶ時間を距離に置き換えるタイムオブフライト(TOF)で,多くの製品が出ています。 人はものを見る時に,近くにあるものほど右眼と左眼で見かけの位置にズレが生じますが,遠くのものほどズレないという性質を利用して奥行きを知覚します。三角測量方式はこれと同じ両眼立体視(ステレオ)の技術をベースにしたもので,ズレ量から距離を測ります。そこでは外界のシーンから発せられた光は光学中心(ピンホール)を通って,カメラの撮像素子に記録されます。その場合,人間の眼と同様に,奥行距離は1台のカメラでは分からないので,最低2台のカメラを用意して,ズレ量を測ります。<次ページへ続く>
オムロン(株) 諏訪 正樹
- 1997年4月
- オムロン(株) 入社
- 2008年4月
- オムロン(株) 技術本部コアテクノロジーセンタ 技術専門職
- 2010年4月
- 立命館大学 理工学研究科 客員教授 兼任
奈良先端科学技術大学院大学 情報科学研究科 客員教授 兼任