セミナーレポート
Kinect for Windows update 2014 テクノロジーの進化日本マイクロソフト(株) 千葉 慎二
本記事は、画像センシング展2014にて開催された特別招待講演を記事化したものになります。
医療やヘルスヘア分野 そしてさらに広がるKinectの可能性
次に,実際Kinectがどういうところで使われているのかということを紹介します。医療の分野では,東京女子医科大学様が開発し,ニチイ学館様が販売している「OPECT」というソリューションがあります。これは執刀医自らがコンピューターを触らずにスワイプの動作をするだけで患者情報を素早く閲覧することができ,手術中の衛生状態を維持することができるというものです。東京大学先端科学技術研究センター様が開発され,アシストアイ様が販売している「OAK」は,重度障がいのある方が顔のわずかな動きでいろいろな機器のスイッチを入れることができるような仕組みです。ゲーム会社が開発し,メディカ出版様が販売している「リハビリウム起立くん」は,ひざのリハビリをするためのソリューションです。リハビリは単調な作業の繰り返しになりますが,それを楽しくやるためにゲーミフィケーションを取り入れ,目標回数に向かって起立運動を繰り返すたびにCGの木が成長していき,目標回数に達成すると終了認定証がもらえるというものです。人流計測システム「Hellow Counter」は,入退出,通路左右の通過人数を自動的に計測できるというものです。また,「行動解析/離床センサー」は,患者さんのベッド上での行動や離床をモニタリングする仕組みです。転倒などの危険性を予測する仕組みなどに応用できるということで研究が進められています。みずほ情報総研様が千葉大学様と研究開発されているのが,聴覚障がい者を支援する「手話認識システム」です。トヨタ自動車様は「リハビリ用パートナーロボット」を開発しており,病気やケガなどで歩行やバランスの確保が不自由な方のリハビリを支援します。
医療・ヘルスヘア分野以外にも,住宅・教育・仮想試着,スーパー,3Dスキャン,マーケティング統計,デジタルサイネージ,エンターテイメント等々,様々な分野でKinectが採用されています。その他,個人認証システムや,部屋全体をゲームの画面に変えるillumiroom,自動でのシャトルバスの手配,自動応答機,加重・加速度の測定による運動評価,心拍計測などによる非侵襲の健康管理など,アイデア次第で私たちの生活や社会をより豊かで便利にしていく多くの可能性があります。
Kinectを導入する理由として,マイクロソフトの高い品質と信頼性や,優れたコストパフォーマンス,世界中で手に入れることができるといったことが挙げられます。新型機は今年7月中旬頃からまずオープンベータ版がマイクロソフトストアで販売されます。今後の展開にご期待いただくとともに,ぜひ皆様もKinectに触れてそのポテンシャルを感じてください。
日本マイクロソフト(株) 千葉 慎二
1972年生まれ。岡山県出身。マイクロソフトで組み込みWindows OSの開発に従事した後,Xboxの立ち上げメンバーとなる。専門はCPUとオーディオ。初代XboxとXbox 360のアプリケーション開発および技術サポートを経て,現在はKinectなどマイクロソフトの最新テクノロジー製品を啓蒙するエバンジェリスト兼ソフトウェアデベロップメントエンジニアとして活躍中。