セミナーレポート

高速画像処理の新展開東京大学工学部/情報理工学系研究科研究科長 石川 正俊

本記事は、画像センシング展2017にて開催された招待講演を記事化したものになります。

産業応用とロボットへの展開

 産業用では,NEXCO中日本との共同開発で,時速100キロの通常巡行車両で,トンネル壁面の0.2ミリのクラックを識別する高速道路整備検査の高速検査を実現しました。
 1000fpsでの3次元計測も可能となっており,大日本印刷との共同研究で,高速Book Scanを開発。機械による高速ページめくりと,リアルタイムで実行される書籍の3次元状態認識技術,高速のゆがみ補正アルゴリズムを導入することにより,1分間に250ページのスキャンができ,書籍電子化の高速化を実現しています。
 また,高速ロールカメラシステムとして,カメラの視線方向を軸とした像の回転(ロール)を高速に制御するシステムを開発しています。これは,ダブプリズムを計測しながら同期させて回転させるというものです。遠心分離機中の変化や風力発電機が回っている様子などを止めることなく見ることができます。
 ロボット分野では,ボールをコントロールし,目標位置に投球するスローイングロボットと,高速ビジョンを用いてボールを確実に打つバッティングロボットを組み合わせたロボットを開発しています。高速での動的保持動作の例としては,高速ドリブルもできるようになっています。高速ビジュアルフィードバックにより,人間機械協調システムで70ミクロンの穴に50ミクロンのペグを入れることも可能で,ラインのセル生産に応用できます。
 人間の手の認識を,高速ビジョンを用いて1msごとに行うことで,勝率100%を実現するじゃんけんロボットは広く知られています。人間の手が完成してから, ロボットが動作し,人間の目が認識できる時間よりも早くロボットの手を出す,後出しじゃんけんを実現しています。これらの高速ビジュアルフィードバックを用い,二足走行ロボットシステム「ACHIRES」を開発。換算値で世界最速の高速走行を実現しています。そのほか,自動車,セキュリティーなどで応用を進めています。
 われわれの研究室では様々な応用を展開しています。それは,画像処理を高速化し,すべてのシステムを高速化しようという概念です。これらを展開するため,WINDSネットワークという組織を立ち上げています。ご参加いただければと思います。

東京大学工学部/情報理工学系研究科研究科長 石川 正俊

1979年 東京大学大学院工学系研究科修士修了。通商産業省工業技術院製品科学研究所を経て,1989年 東京大学工学部計数工学科助教授,現在,情報理工学系研究科研究科長及び創造情報学専攻教授。この間,2002年より2006年まで,東京大学総長特任補佐,副学長,理事・副学長を歴任。高速画像処理とその応用システムの研究に従事。2011年 紫綬褒章受章。

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