セミナーレポート
中国AI最新事情と画像センシング技術の自動運転への応用センスタイムジャパン CEO 勞 世竑
本記事は、画像センシング展2019にて開催された招待講演を記事化したものになります。
ホンダとの自動運転の共同研究で画像認識技術を提供
センスタイムは,中国のスタートアップ企業の中でトップの売上を達成しており,主要顧客は700社を超えます。事業は,AI+金融向けの個人認証サービスをはじめ,スマートフォンにおける個人認証,自動運転,医療画像認識などの技術を開発しています。それらを支えているのは,世界中のトップ大学との研究開発です。センスタイムは現在,ホンダと共同研究をしています。2017年10月に5年間の長期にわたる自動運転用AI開発に関する調印を行いました。共同研究ではセンスタイムは画像認識の技術を提供しています。ホンダのクルマの技術を融合させ,レベル4の自動運転を目指しています。ロボットタクシーなど営業向けの自動運転では,車体のコストが多少高くても問題ありませんが,われわれが目指しているのは個人が運転する自家用車です。そのため,消費者自身が負担できるコストで実現できる技術が求められます。ローコストのカメラをはじめ,LiDAR,ミリ波レーダーなどのセンサーも含めて環境を認識し,自己位置を推定したうえで,行動を決め,車両制御を行う一連の技術が,われわれの研究テーマになります。
例えば,横断歩道の前では,横断歩道を渡ろうとしているのか,単に歩道を歩いているのか,人の顔や身体の向き,歩く方向など,その人たちの動作を認識する必要があり,そのための技術を開発しています。関連する技術として,道路の領域や周りの車,交通標識の認識などもあります。車線認識においては,ディープラーニングの技術を使い,夜間や雨,立体交差で明暗の変化が激しく認識しづらい環境でも認識できるようにしています。
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センスタイムジャパン CEO 勞 世竑
1984年 中国浙江大学卒業 京都大学留学後,1992年オムロン株式会社入社 顔認識技術の開発研究に従事。2016年SenseTime Groupの日本法人であるセンスタイムジャパンを設立。ディープラーニングを活用したコンピュータビジョンの技術を提供する最先端企業として,顔検出・認識,車・歩行者検出技術開発,ホンダと自動運転の実現を目指した共同研究を行っている。SenseTime Group副総裁,知能運転事業統括。センスタイムジャパンCEO。