セミナーレポート

映像解析技術を活用した安全・生産性を向上するフィジカルセキュリティー・IoTソリューション(株)日立製作所 村上 智一

本記事は、国際画像機器展2016にて開催された特別招待講演を記事化したものになります。

セキュリティー分野での映像解析技術の活用事例

 セキュリティーの分野では,人流解析をベースに,危険行動などを検知し,複数のカメラの中から検索していくという映像処理の技術があります。そこにコンポーネントとして,高視認化のためのカメラや新しいゲートを組み合わせ,セキュリティーソリューションとして提供しています。人流解析技術では,監視カメラから特定の人物を検出し,その軌跡を追いかけるという技術がベースになっています。特徴は,ロバストでリアルタイムな動作が可能なことにあります。通過している人数のカウントや,止まっている人数などもグラフ化し提供。人をアイコンに置き換えることで,プライバシーの配慮もできるようになっています。すでに鉄道会社様で採用いただき,スマートフォン向けアプリにより個人を特定されない形で駅混雑状況が見られるようになっています。
 動いているものを追いかけるという技術を利用し,置き去りにされた危険物を検知するという技術も開発しています。また,判別では,鉄道などでは酔っぱらっている方や不審なものを持っている方を見つけたいというニーズがあります。他にもハンディキャップのある方がいた場合,駅員のサポートが必要な場合もあります。そういった状況を検知する技術を開発。さらに,複数の監視カメラの断片的な情報をつなぎあわせ,統合して活用していく複数観点検索技術も開発しています。
 安全性と快適性をターゲットに,映像解析技術とその他のコンポーネント技術を組み合わせる。その1つとして,霧,黒つぶれなど不鮮明領域のノイズを抑え,コントラストを強調する高視認化カメラの開発があります。この技術の発展形として,世界初の可視光と近赤外線を同時撮影できるColor-IR技術搭載カメラを開発。また,正確でスムーズな本人認証が可能なウォークスルー型指静脈認証技術や,質量分析型爆発物検知技術を開発しています。後者の技術は,ICカードに付着した微粒子を効率的に採取し,内蔵した装置によって分析することで爆発物の有無を1~2秒で探知するというものです。

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(株)日立製作所 研究開発グループ システムイノベーションセンタ 村上 智一

(株)日立製作所 研究開発グループ システムイノベーションセンタ メディア研究部 所属。現在,画像認識・処理技術の研究開発に従事。
博士(情報理工学)。電子情報通信学会,映像情報メディア学会,日本バーチャルリアリティ学会 会員。

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