セミナーレポート

画像を利用したインフラ維持管理におけるデータ管理手法株式会社イクシス 代表取締役 山崎 文敬

本記事は、国際画像機器展2019にて開催された特別招待講演を記事化したものになります。

点検・自動化におけるロボットの活用

 現在の点検フローでは,まず現場に点検員が行きます。3人で1パーティになって,現場で近接目視点検を行い,損傷の場所を確認し,カメラで撮ったり野帳に書き留めたりして記録を取ります。これが「外業」です。外業に1日かけ事務所に戻ると,野帳のメモや写真を見て,点検調書にするべきデータを抽出し,エクセルに画像を貼って納品します。これが「内業」で,点検調書を作るのに1人で2~3日かかります。実は,内業には6割のコストがかかるのです。そこで,これらの工程を効率化するためにAIの導入が求められています。
 今,現場では,作業員の高齢化で熟練工が減少し,労働力の不足が深刻化しています。こうした中で,われわれは,現場で不足するリソースを補い,少人数で作業ができるように,自動化・省力化を実現するロボットの投入に取り組んでいます。しかし,現場からは「人数は足りているから必要ない」と言われることがあります。実際に現場へ行くと,確かに現場に3人いて,人は足りています。ただし,例えば10か所点検するには30人必要ですが,労働者が27人しか集まらない場合,1か所3人という人数は変わらないので,1日に対応可能な現場数は9か所に減らしているのです。さらに人が集まらなくなれば,8か所,7か所と,1日の現場数が減っていくことが大きな問題になります。
 点検・自動化におけるロボット活用では,外業でカメラやロボットを活用し,内業でAIなどを活用すれば,調書作成にかかる時間が大幅短縮になり,全体的に大きな効果が期待できます。例えば,調書作成まで含めて1週間で1か所しかできなかった点検作業が3日で終われば,場合によっては同じメンバーで1週間に2か所点検することも可能になり,従来の人員で2倍の点検ができるようになります。このように,ロボットやAIを活用することで,人手不足が解消でき,点検コストの削減にもつながります。

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株式会社イクシス 代表取締役 山崎 文敬

2000年 早稲田大学大学院理工学研究科修了。
2003年 大阪大学大学院工学研究科博士課程単位取得退学。
1998年~ 株式会社イクシスリサーチ(現 株式会社イクシス)代表取締役

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