セミナーレポート
画像を利用したインフラ維持管理におけるデータ管理手法株式会社イクシス 代表取締役 山崎 文敬
本記事は、国際画像機器展2019にて開催された特別招待講演を記事化したものになります。
デジタルツインによるインフラ維持管理
橋梁点検では「橋梁点検要領」がベースになります。PC橋なら0.1 mm,RC床版なら0.2 mm以上のひび割れが管理対象になります。解像度的には,それぞれ0.05 mm,0.1 mmから見える精度で撮影しなくてはいけません。そこで重要になってくるのがピクセル解像度ですが,これは何分割しているかということに過ぎません。むしろ,センサーのサイズやレンズが重要になってきます。また,ストロボをたくと真ん中はきれいに撮れますが,周辺光量でひび割れが見えにくくなるのは困ります。さらに,1~2 mの距離で撮るので,真ん中と周辺部との距離の違いから,被写界深度も重要になります。撮影後,ゴミの消去や画像補正,画像結合,あおり補正などを行い,AIを活用して,取得したデータから損傷判定を行い,3D上にマッピングしていきます。当社では,「Rope Stroller」というワイヤー吊り下げ型目視点検ロボットを開発し,高所での橋梁の床版裏面点検をはじめ,ダムなどでも活用されています。撮影自体はロボットでもドローンでもできますが,その写真がどの位置から何を撮ったものなのかを位置情報に基づいて図面上にマッピングすることができます。
最近では,国交省の提唱するICTを使い建設を一元管理するi-Constructionの導入が始まっています。ただし,現在進めているのは,測量から設計,施工,完成検査の4フェーズです。しかし,構造物の場合,つくるのは1~2年でできても,そこから50年間使い続けるわけで,点検・維持管理や更新・廃棄までを考える必要があります。現在,国交省の道路点検では,紙ベースの点検から点検調書の3D納品(デジタルツイン)へと進んでおり,将来的には,それに経年劣化などの時間軸を加えた4D化も可能になると思われます。当社では,被写体をさまざまなアングルから撮影し,そのデジタル画像を解析,統合して立体的なモデルを作成するフォトグラメトリーの3D化や,橋梁桁内部の3D点群データ化,3次元CAD画像と自律型ロボットの融合,クラウドを活用した3D納品に対応したシステム開発などを進めています。
株式会社イクシス 代表取締役 山崎 文敬
2000年 早稲田大学大学院理工学研究科修了。2003年 大阪大学大学院工学研究科博士課程単位取得退学。
1998年~ 株式会社イクシスリサーチ(現 株式会社イクシス)代表取締役