画像センシングの最前線
先進運転支援システム( ADAS ),自動運転のための画像センシング技術名古屋大学 二宮 芳樹
5.評価・学習用のデータベース
車載用の画像センシング技術開発には,性能評価,補償,さらにはパラメータチューニング(学習)のためのデータベースが必要になる。画像センシングは環境条件を制御できない実世界を対象とした技術であり,その多様性や課題を事前にどれだけ把握できるかが,性能確保の上で重要となる。それらを考慮して構築されるのが,評価・学習用のデータベースとなる。アカデミアにおいても,主としてベンチマークの観点から,評価・学習のためのデータベースを大学で公開している。画像認識の分野では,こういったデータベースによって定量的な性能評価が10数年行われ,技術の進展に大きく寄与している。車載画像センシングの分野では,画像とレーザスキャナーの両方のデータを公開しているKITTI ( A Project of Karlsruhe Institute of Technology and Toyota Technological Institute at Chicago ) データセットが有名である。6.まとめ
ADASの普及と自動運転の実現に向けて,車載画像センシングは自動車の目となるコア技術としても幅広く応用が広がることが期待されている。本解説ではその課題を,外界センサ,画像認識アルゴリズム,車載画像処理ハードウェア,評価・学習のためのデータベースの4つの領域で整理した。名古屋大学 二宮 芳樹
1983年 名古屋大学 工学研究科 電子工学専攻 終了車の知能化、自動運転の研究に従事
1983年 (株)豊田中央研究所 入社
2004年 (株)豊田中央研究所 走行支援センシング研究室 室長
2011年 (株)豊田中央研究所 情報エレクトロニクス研究部 部長
2014年 名古屋大学 未来社会創造機構 モビリティ部門長 特任教授(工学博士)