画像センシングの最前線
電車線インフラ設備における画像センシング技術庭川 誠
3 まとめ
画像センシング技術を電車線のインフラ点検に適用した実例として,トロリ線摩耗測定,接触力測定,わたり線測定について紹介した。インフラ設備と画像センサの相性は良く,画像処理で要注意と判定した値と,画像処理前の元画像を見ることで,居ながらにして現場の状況を点検できる利点がある。従来は,長大なインフラ設備を測定したデータと,その過去データを集積したデータがビックデータであり,その活用を持て余していた。しかしながら近年の人工知能の普及は,これら膨大な過去データから電車線寿命を予兆予知が今後可能になると考える。またカメラの高解像度化,高ダイナミックレンジ化の技術革新が著しく,画像センシングによるインフラ点検が,国内はもちろん海外でも急速に普及するものと推測する。
参考文献
1) モーニングスター社のHP http://www.morningstar.co.jp/event/1007/ms5/2) 渡部「画像処理による電車架線摩耗測定装置」平成22年電気学会C部門大会予稿集 TC14-4, pp520-521
3) 池田,小山,田林,庭川「画像情報を活用したパンタグラフ接触力測定」,鉄道と電気技術,Vol.24, No.2,pp36-40,(2013)
4) 日本鉄道電気技術協会,電気技術者のための電気概論 電車線路シリーズ3, 電車線装置,pp30
5) 庭川「画像処理による電車線の検査測定装置」,第4回平成25年画像応用技術専門委員会,No3, 2015
庭川 誠
株式会社明電舎 研究開発本部 基盤技術研究所 知能情報研究部長。2008年電気科学技術奨励賞受賞, 2011年画像センシング技術研究会高木賞受賞,2013年澁澤賞受賞, 博士(工学)