第1回 画像AI研究の「こうありたい」テクノクラート像-現場に深く根差した佐藤雄隆博士-A more than the expected Technocrat of Image AI Researches―Dr. Yutaka Sato―
3.学術場づくり-佐藤さんのインパクト-
極論すると,学会活動には,学会という学術場を作る仕事もあるし,その学術場を借りてわが研究を鍛錬する仕事もある。筆者は,後者にのみ戦場のように拘るだけの生き方にもあり方にもあまり魅力を感じない。その意味で佐藤さんは何とも魅力的である。
殺人的なマネージメント激務のなか,佐藤さんは学会運営と育成に熱いものをもって臨んでおられる。よーく身の回りをみてください,佐藤さんは稀有で顕著である。それを知る現場を1つだけあげよう。
写真4 佐藤さんが実行委員長のSSII2018のポスター
2014年度から産業技術総合研究所知能システム研究部門研究グループ長をお務めであったから,まさにその只中に,SSII2018とSSII2019の実行委員長をイキイキと務められた。写真4は,その時のポスター(現物はカラー)である。
どうイキイキであったか?産学が集うSSII開催に際してそのテーマ追い込みへの拘りは下記のごとく出色であった。時代の技術シーズと産業現場の要請,およびその解決策への浅からぬ関心と洞察なくしてはあり得ない。もちろんリアル開催での参加者の記録を大きく更新し,1,406名になったのであった。佐藤さんが率いた実行部隊の学会催事実装への繊細かつ精力的な取り組みの品質を証(あかし)するに充分であった。この佐藤さんの心意気には,今後ともに大きな「エール」をお送りしたい。
SSII2018のコピー「急成長する技術 × 膨張するニーズ」(参加者1,266名)
SSII2019のコピー「技術・ニーズ・人材が出会う結節点」(参加者1,406名)
ここでぜひとも1 つ補遺したい佐藤さんへのエールがある。
コロナ禍は,オンサイトとオンラインのハイブリッド開催への需要を加速しつつある。コロナ禍の終焉があったとしても,オンラインの需要は決してなくならず,同時にオンサイト喪失感解消の希求は消えない。よって克服すべきハイブリッド開催の難題の筆頭は,オンラインとオンサイトの参加者の分断,これを乗り越えることに極まるのではないかと思っている。
そのためには私見であるが,“スーパーなMC(super Master of Ceremony)” の登場が学会現場で強く待たれる,とひそかに考えを巡らせている。そして,佐藤さんは,MCないしファシリテータの才が卓越している,と筆者は思っている。好評であった,ViEW2019のISセッションのLIVE中継インタビュアーを務められた佐藤さんの雄姿をご記憶の方は少なくないでしょう。
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